お年玉とは?
お正月の風物詩といえる「お年玉」。
現在のお年玉は、新年の祝いとして近しい人に送る金品のことを指します。
主に大人が子どもに渡す風習があり、親が子に渡すだけでなく、親族内やご近所間でも渡し合うことがあります。
なかには上司から部下へなど、上の立場の人が下の立場の人へ送るパターンもあります。
実は本来は「お年玉」とは書かず、「御年魂」と書き、お正月に年神から魂を分けて頂く、という意味合いでした。
御年魂によって1年分の力を授かる習わしでしたが、そこからお金を配る「お年玉」へと転じていきました。
目次
お年玉の起源や由来とは?
お年玉の起源・由来には諸説あります。
今はお年玉といえば子どものための風習ですが、そもそもは子どもへ渡す行事ではなく、前述したようにお正月に年神様をお迎えしてその御魂を分けてもらうという意味で「御年魂」が始まったという説が有力です。
お正月には年神様をお迎えする依り代として門松や鏡餅など様々なものを用意します。
そして、御魂を宿す依り代として、白くて丸い餅が用いられました。
お正月が過ぎると、神様のお供え物のお下がりとして御魂の宿った餅を家族に配り、神聖な力を食べて1年の健康を祈っていました。
昔はお金ではなく、お餅だった?
現在はお年玉といえばお金ですが、もともとは年神様の魂を表した「お餅」を配る風習でした。
その家の家長がお餅を家族に分け、お雑煮にして体に年神様の御魂を取り込んでいました。
そのため、今でもお雑煮には必ずお餅が入っているのです。
お餅は丸いため、それが「お年玉」へ転じる元となったと言われています。
しかし時代とともに家でお餅をついて用意する家庭が減り、お餅の代用として、お金が配られるようになりました。
お年玉はいくら渡すべき? 年齢別の金額相場
それでは、お年玉として、どのくらいの金額を渡したらいいのでしょうか? 相手の年齢別に解説していきます。
乳幼児(0歳から2歳) | 500~1,000円程度 |
未就学児(3際から6歳) | 1,000円前後 |
小学校低学年(1年生から3年生) | 1,000~3,000円 |
小学校高学年(4年生から6年生) | 3,000~5,000円 |
中学生 | 5,000円前後 |
高校生 | 5,000~10,000円 |
大学生 | 10,000円以上、もしくは渡さない |
乳幼児(0歳から2歳)のお年玉相場は?
乳幼児(0歳から2歳)に渡す場合は、500円から1000円くらいが相場と言われています。
とはいえ必ず渡すべきと言うわけでもなく、成長してお金を認識し、その価値がわかるようになってから渡すという考え方もあります。
まだ幼いため、お金ではなく、おもちゃなど本人や親が喜ぶものに変えて渡すのも1つの手でしょう。
未就学児(3際から6歳)のお年玉相場は?
未就学児(3際から6歳)に渡す場合は、500円から3000円が相場の範囲とされており、だいたい1000円が主流のようです。
小学校入学前の年頃になりますが、まだお金の管理が難しい年頃のため、お年玉は親御さんに渡しましょう。
この年代も乳幼児と同じく、本やお菓子に変えても喜ばれるでしょう。
小学校低学年(1年生から3年生)のお年玉相場は?
小学校低学年(1年生から3年生)に渡す場合は、1000円から5000円の間が相場で、3000円が主流です。
小学生に上がると、1学年上がるごとに1000円、2000円、3000円…と金額を上げる方もいます。
兄弟がいる場合は、年齢で金額に差をつけても、あえて同じ金額にしても、どちらの方法でもOKです。
小学校高学年(4年生から6年生)のお年玉相場は?
小学校高学年(4年生から6年生)に渡す場合は、3000円から5000円が相場で、3000円が主流です。
この年齢になると自分で使うことが増えるため、親や周囲の大人が金銭感覚や使い方を身につけさせるために配慮していくことが必要です。
もし子どもにお年玉を渡したら、その旨を親御さんにも伝えておきましょう。
中学生のお年玉相場は?
中学生に渡す場合は、お小遣いで自分のものを買う機会が多くなっていくため、3000円、5000円、10000円と相場は様々になります。
だいたいは5000円が主流になります。
もし自分の子どもと渡す相手の子どもが同年代なら、相談して同じ金額にするか、頂いた金額と同額にするとトラブルがないでしょう。
高校生のお年玉相場は?
高校生に渡す場合は、5000円か10000円が相場になります。
中学生の時と同じ金額でも問題はありませんが、やはり中学生の時より金額を上げるケースが一般的のようです。
自分が高校生時代にどれだけ貰っていたかを参考に考えるのも良いでしょう。
貰った相手の子どもに渡す場合は相場関係なく同額がベストです。
大学生のお年玉相場は?
大学生に渡す場合は、すでに自分でアルバイトなどで稼ぐことができる年代ということもあり、渡すか渡さないかで分かれます。
渡す場合は10000円が相場になりますが、大学生になったらもう渡さないというケースも多いようです。
渡す側の経済的な負担も大きくなるため、相手先の関係などを考慮して決めましょう。
お年玉は何歳まで渡すもの?
お年玉は何歳まで渡すものなのか悩まれる方も多いと思いますが、明確なルールはありません。
一般的には、幼稚園・保育園に入園してから、高校を卒業するまで(3~5歳から18歳まで)の期間が多いようです。
年齢で区切るよりも、生まれてから、入園してから、小学校に入学してから、など「お年玉を始めるタイミング」と、高校を卒業するまで、社会人になるまで、など「お年玉をやめるタイミング」で決める考え方もあります。
現金以外のお年玉もある?
近年では、お年玉として、現金以外のものを渡すこともあります。
乳幼児や小学校低学年の子どもの場合、お金の代わりにおもちゃや絵本、お菓子をあげるのも喜ばれるでしょう。
また、近年では親戚で集まらないケースが増えているため、キャッシュレスでお年玉を渡す人もいます。
他にも、スマホのアプリで使えるプリペイドカードや図書券に変えて渡す人もいます。
必ずしも現金にこだわらず、相手が必要としているものを渡すのも一手です。
お年玉を渡す時の6つのマナー
ここからは、お年玉を渡す時のマナーについて、ご紹介していきます。
1.ポチ袋に入れて渡す
お年玉を渡す時は、裸のまま渡すのはあまり良くありません。
新年のお祝いとして渡すものですので、ポチ袋に入れて渡しましょう。
急に渡すことになってポチ袋がない! と慌てないよう、年始にはポチ袋を余分に準備しておきましょう。
カバンに入れて持ち歩いておくと、なお安心です。
ポチ袋で渡す際は、表に渡す相手の名前を、裏に自分の名前を書きます。
名前を書いておけば、相手も誰に貰ったのか管理しやすいので助かります。
2.お札はなるべく新札にする
お年玉はお祝い事ですので、お札はなるべく新札を、もしくは綺麗な状態のお札を入れましょう。
結婚式や入学祝いなどのご祝儀に新札を包むのと同じマナーです。
使用感のあるお札は弔事に使うものなので避けましょう。
普段の生活の中で新札が巡ってくることはほぼありませんので、新札対応の両替機か銀行の窓口を利用して新札をたくさん準備しておきましょう。
年末年始は混雑したり開いてなかったりする場合があるので、早めの準備が大切です。
3.お札の折り方や向きに気をつける
お年玉に入れるお札には正しい折り方や向きがあります。
お札はポチ袋にそのまま入らないので、三つ折りにして入れます。
半分に折ってさらに半分折る…という折り方だと簡単ですが、四つ折りの「四」は「死」を連想して縁起が悪いので避けましょう。
三つ折りにする際はお札を開けた時に肖像画が書かれている表が見えるようにします。
三つ折りにしたお札の右側がポチ袋の表側を向くようにすると、正しい向きで入れられます。
4.硬貨は表向きに入れる
硬貨もお札と同じく、ポチ袋から取り出した時に表面が見えるように入れるのがマナーです。
硬貨の表面は、「100円」「10円」などの硬貨の金額が書かれているほうが表と思っている方が多いかもしれませんが、実は金額と製造年月日が書かれてる側は裏になります。
絵柄が彫り込んでいる反対側の面が表になります。
表面がポチ袋の表面側になるようにして入れましょう。
また、入れる硬貨はなるべく綺麗なものを選びましょう。
5.縁起の悪い数字は避ける
お年玉に限らず、お祝い事にお金を包む時は総じて「忌み数」を避けるのがマナーです。
「死」を連想する「4」、「苦」を連想する「9」は忌み数と言われる数字なので、避けてください。
反対に縁起がいい数字もあります。
「8」は漢字にすると「八」となり、裾が広がっていく形から「すえひろがり」と呼ばれ、幸福が広がっていく縁起がいいものとされています。
そのほかは「3」「5」など奇数が好まれるケースが多いです。
6.相手が喪中の場合、お年玉は控える
お年玉は単にお金を配る風習ではなく、新年を迎えるにあたってのお祝い事の一環ですので、相手が喪中の場合は年賀状を控えるのと同じように、お年玉を渡すのを控えましょう。
身内にご不幸があった家族は、故人との間柄によって90日間から1年間喪に服してお祝い事を遠ざけて静かに過ごします。
しかし「お小遣い」としての名目なら渡すことができます。
ただし、誤解のないよう、渡す前に親御さんに了解を取っておきましょう。
マナーや相場を理解してお年玉を渡そう!
ここまで、気になるけれど他人には聞きにくい「お年玉のマナーと相場」をご紹介しました。
必ずしも一般的な相場や渡し方が相手にとって正解とはいえませんが、だいたいのものを知っておけば渡す立場になった時に、慌てず無難に対応することができるでしょう。
時代とともにお餅からお金、お金から物・キャッシュレスへと形を変えつつあるので、失礼のないようマナーを知ったうえで、状況や相手の好みに合わせて柔軟に対応していくと良いでしょう。