鬼門とは？裏鬼門との違いや意味、方角の調べ方や家の対策を解説

鬼門とは？　どの方角？

鬼門とは「きもん」と読み、鬼が使う門＝鬼が出入りする方角を意味します。その方角は、北東とされています。

風水や家相などで使われる方位の考えの1つで、もともとは古代中国の考え方でした。令和の今も、鬼門は不吉な方角として家づくりなどの際に鬼門の対策が施されていることが一般的です。

家の鬼門を見る際には、地図上から見るのではなく、家の中心から見た時の方角で考えます。中心から真北の方角を0度とし、鬼門はそれに対し15度から75度、裏鬼門は195度から255度の範囲にあたります。

裏鬼門とは？　どの方角？

鬼門には「表」と「裏」があるとされていて、表鬼門が北東の方角なのに対し、裏鬼門はその反対にあたる南西の方角と言われています。

考え方としては、表鬼門から鬼などの邪悪なものが入ってきて、裏鬼門からそれらが出ていくとされています。

つまり、鬼や邪気が放出される方角という考え方で、表鬼門と合わせて避けるべき方角とされています。そのため、鬼門の対策をする時は、裏鬼門もセットで対策されることがほとんどです。

なお、都市全体の配置で陰陽道の結解を張っていると言われている京都では、裏鬼門にあたる南西に石清水八幡宮が配置されています。

鬼門や裏鬼門の歴史は？

鬼門の起源は古代中国まで遡ります。

中国の秦の始皇帝の時代に、北東から異民族や馬賊など国を脅かす強敵が攻め込んできたことから不吉な方角とされたというものや、北東の季節風によって不作になったというものなど、歴史上の情勢や地形の問題、古代中国の逸話など、起源は諸説あると言われています。

それが日本に伝来し、陰陽道や神道の影響を受け、伝播していきました。

平安時代の794年には鬼門除けの像が建立されており、既に平安京では鬼門封じの都市建設が行われていました。その他、京都以外でも都市の鬼門にあたる方角には鬼門除けとして大きなお寺が建立されることが多くあります。

ちなみに、京都から見て鬼門にあたる位置にある京都比叡山には、織田信長が焼き討ちをしたとして歴史的にも有名な延暦寺があります。このお寺はもともと京の都を鬼から守るために建立されたと言われています。

鬼門や裏鬼門の方角は、どう調べたらいい？

ここからは、鬼門（北東）や裏鬼門（南西）の方角を正確に調べる方法について、ご紹介していきます。

北東（鬼門）：北と東の間、30度前後の範囲（約30度から60度） 南西（裏鬼門）：南と西の間、210度から240度の範囲

アプリの中には「風水コンパス」「家相コンパス」など、風水や鬼門方位を視覚的に表示してくれるものもあります。

なお、間取り図に方位マーク（N＝北）が記載されていれば、中心から北東・南西に線を引くだけで鬼門・裏鬼門の範囲がすぐにわかります。

鬼門や裏鬼門にまつわる「三所に三備を設けず」とは？

「三所に三備を設けず」という言葉が、風水や家相においてよく使われます。

ここで言う「三所」とは、鬼門、裏鬼門、建物の中心の3カ所を指します。「三備」とは、玄関、キッチン、トイレやお風呂などの水回りのことを指します。

鬼の通り道である鬼門や裏鬼門に家の出入り口を設置するのは避けるべきという考え方と、汚れを洗い流すキッチンやトイレなどの水回りは負のエネルギーが溜まりやすいので鬼門や裏鬼門を避けるべきという考え方です。

ただ、近年では「三所に三備を設けず」は日本の風土の理に適ったものであると考えられています。

木造建築で暖房設備が整っていなかった昔の家では北風の入りやすい北東は冷えやすく、そこに玄関やお風呂を設置すると風邪を引いて体調を崩しやすいなど、先人の暮らしの知恵が詰まっていると言われています。

玄関

玄関はその家の出入り口ですから、鬼の通り道である鬼門・裏鬼門に設置すると鬼や邪気が家の中に入り込んできやすくなるという考え方からNGとされています。

また、玄関を設置することで、そこの形が引っ込んだような状態になります。これを家相では「欠け」と言い、凶の家相に繋がります。

この部分を負のエネルギーが溜まりやすいとされる鬼門・裏鬼門に配置すると、さらに良くないものが溜まりやすくなります。

また、日本の風土的にも、開け閉めの多い玄関を北東に設置すると冬場に冷たい風が家の中に入ってきて体を冷やしやすくなってしまいます。

キッチン

キッチンは、火と水を使います。風水では火は陽の気、水は陰の気を帯びているとされ、相反する気が混ざり合うキッチンは不安定な場所であるとされています。

そのため、邪気の通り道とされる三所に設置すると悪いほうへ傾きやすいと考えられています。

また、現実的には日照の問題が考えられます。特に、裏鬼門は西日で食品が傷みやすい方角とされています。さらに、日の当たりやすい方角は夏場温度が上がりやすく、熱さや湿気でカビが発生し、不衛生な環境になりやすいと言われています。

お風呂やトイレなどの水回り

お風呂やトイレなどの水回りを、冬場北風で冷え込みやすい鬼門に設置すると身体が冷えやすくなります。特に、お風呂やトイレは服を脱ぐ場所でもありますから、温度調整がしにくく、体調を崩しやすくなります。

また、そこにお風呂を設置するとお風呂の外の温度差が大きくなり、お風呂上りにいわゆる「ヒートショック現象」が起きやすくなります。こうした現実的な問題からも、お風呂やトイレなどの水回りは今も鬼門は避けるべきと言われています。

鬼門・裏鬼門にあっても良いものもある？

鬼門や裏鬼門が良くない方角とされていますが、鬼門や裏鬼門にあっても良いものはあるのでしょうか？

寝室 子ども部屋 収納スペースやクローゼット 仏間（神棚・仏壇）

寝室

風水では、寝室を鬼門に配置すると、仕事面や経済面に良い影響があるとされています。

北の方角は水の気を持ち、信頼や落ち着きがアップすると言われています。そのため、ビジネスチャンスや人脈が広がりやすく、結果的に仕事運や金運も上がると考えられています。

また、北は精神的にリラックスできる方角なので、ここに寝室を配置するとぐっすり眠れるようになります。なお、北東は家族の方角と言われるため、家庭円満に繋がるとも言われています。

子ども部屋

鬼門である北東の方角は、子ども部屋に適していると言われています。

北東は「主人」の方角と言われており、特に北東の部屋で育った男の子はたくましく強い子に育つとされています。「相続」の方角ともされているため、その家の相続者として運気が上がりやすいと言われています。

また、北は落ち着きがアップする方角ですから、勉強に集中しやすくなります。

ただし、鬼門は様々な気が入ってきやすい方角のため、散らかっていると悪いものを引き寄せやすくなります。鬼門を子ども部屋にする場合は、こまめな掃除や整理整頓を心がけましょう。

収納スペースやクローゼット

風水的には、北東は「貯蓄を司る方角」と言われています。そのため、ここに物を置く収納スペースやクローゼットを配置すると資産が豊かになると考えられています。

また、ここに財産を保管すると、財運や貯蓄運がアップするとされています。

邪気が出入りする鬼門・裏鬼門に財産を保管すると悪いものに影響されそうですが、収納スペースやクローゼットは構造的に普段閉め切られていることが多いため、悪い気の出入りの影響が少ないので問題ないとされています。

仏間（神棚・仏壇）

神棚・仏壇などを置く仏間は、鬼や邪気が出入りする鬼門・裏鬼門は、昔はあまり良くないと言われていました。

ただ、神仏は邪気を祓い、福を呼び込むものですから、鬼に対抗するものとして鬼門・裏鬼門にあえて配置するという考え方があります。

なお、現代では土地の狭さや住宅の構造上置かざるを得ないケースも珍しくないため、ほとんど気にされなくなりました。

また、神棚や仏壇は鬼門に向き合って置くと良くないものが家に入らないようにする効果があるとされています。ただ、神棚と仏壇は宗派が違うため、同じ部屋に置くのはよろしくないと言われているので気をつけましょう。

鬼門や裏鬼門の具体的な対策法を紹介

それでは、鬼門や裏鬼門に、玄関やキッチン、トイレやお風呂がある場合、どうすればいいのでしょうか？　ここからは具体的な対策法を解説してきます。

常に清潔を保つ 窓やドアを開けっぱなしにしない 整理整頓や断捨離を行う 盛り塩を置き、定期的に交換 猿や龍、水晶などの置物を置く 観葉植物やトゲのある植物を置く 間接照明を置き、明るくする お寺や神社の護符やお祓い

常に清潔を保つ

邪気の通り道である鬼門・裏鬼門は、気が入り乱れる場と考えられています。そのため、その場所が汚れていると悪い気も溜まりやすくなり、運気が下がるとされています。

負の感情に引っ張られないよう、鬼門の場所はどこよりもスッキリさせておきましょう。掃除や整理整頓をこまめにし、常に清潔を保つようにしましょう。

また、鬼門・裏鬼門の直線状にゴミ箱を置くのは良くないと言われているので避けてください。

窓やドアを開けっ放しにしない

何度も言うように、鬼門と裏鬼門は鬼や邪気の通り道です。そのため、その方角の窓やドアを開けっ放しにしておくと、悪いものが家の中に入り込みやすくなってしまいます。

適度な換気も大事ですが、それ以外は開けっ放しにしないよう気をつけましょう。

理想的には、鬼門・裏鬼門の場所は壁であることが望ましいです。住宅の構造上において窓やドアがあっても、閉めるだけで効果があるのであまり気にしなくても大丈夫です。

和室の場合、窓に障子を取り付けると、邪気を封鎖する壁の効果が期待できるのでおすすめです。

整理整頓や断捨離を行う

前述したように、鬼門・裏鬼門は様々な気が入り乱れやすい場のため、整理整頓や断捨離を行って悪い気が溜まらないようにしましょう。

鬼門・裏鬼門は蓄財の方角のため収納スペースとしては良いと紹介しましたが、乱雑に物を置いたり、いらないものを溜め込んだりするのは運気的にあまりよろしくありません。収納スペースを設けている場合、あまり余計なものは置かないようにしてください。

また、風水ではスペースが空くとそこに良い気が入ってくるとされています。運気を上げるためにも、整理整頓や断捨離は効果的です。

盛り塩を置き、定期的に交換

塩は、昔から穢れを清め、災いを除ける作用があるとされています。葬儀の後、家に入る前に塩を体に振りかける風習も、この考えからきています。

塩にこのような効果があるとされたのは「汚れのない白さ」であることと、殺菌効果があり腐敗を防ぐ効果があるからです。

鬼門や裏鬼門など邪気を祓いたい場所に盛り塩をすると、その場を清められると言われています。盛り塩を置く際は直接水がかかるような場所や、人の動きが激しい動線となる場所は避けてください。

また、置きっぱなしにすると負の気が溜まり、清めの効果が薄くなるので、定期的に交換しましょう。

猿や龍、水晶などの置物を置く

鬼門・裏鬼門に魔除けの効果があるとされるものを置くのも効果的です。

たとえば、裏鬼門の南西の方角は、未申の方位です。この場所に申＝猿の置物を置くと、「難が去る（猿）」とされています。

他にも、神の化身である龍や、魔除けに効果があるとされる水晶を置くのもおすすめです。龍は水を司る龍神として、水に関係する場所によく祀られています。

北の方角は水の気を帯びていますので、水をコントロールする龍神を鬼門に配置すると邪気を祓い、良いものを呼び込むと言われています。

観葉植物やトゲのある植物を置く

トゲのある植物は、鬼が怖がるため魔除けに効果があると言われています。節分の日に葉にトゲのある柊を軒先に飾る風習も、その言い伝えからきています。

その他、サボテンやアロエ、ユッカなども、トゲがあるため魔除けの効果があるとされています。

また、昔から魔除けの植物として人気なのは南天です。南天は葉にトゲはありませんが、「難を転じる」の語呂合わせから邪気を避ける効果があると言われています。

ただ、枯れると逆に陰の気を呼び込みやすいので、植物の管理は怠らないようにしましょう。

間接照明を置き、明るくする

風水では、間接照明を置いて光を足すことで陽の気を高めることができるとされています。

鬼や妖怪、幽霊などの邪気をまとうものは暗がりや闇を好むと言われています。そのため、部屋の隅や足元など、メインの照明の光が届きにくい場所に間接照明をプラスすると邪気が溜まる場所がなくなり、悪いものが居つきにくくなりなります。

また、明るい光はプラスのエネルギーを育てると言われています。開運効果も期待できるのでおすすめです。

お寺や神社の護符やお祓い

お寺や神社には、邪気や災いを封じる護符があります。「鬼門除け」や「方位除け」のお札がお寺や神社で授けてもらえるので、気になる方はそれを鬼門・裏鬼門の部屋に置きましょう。

最近ではオンラインショップでも購入することができます。

護符は自分の背よりも高い位置に置いてください。鬼門・裏鬼門、それぞれの部屋に1体ずつ置くのが理想です。

またお寺や神社でお祓いや方位除けの祈祷をしてもらうという方法もあります。

鬼門にまつわるQ&A

Q1.鬼門と家相の違いは？
A.鬼門は方角のエネルギーを重視する概念、家相は間取り・配置・動線など建築全体のバランスを見るもの。どちらも組み合わせると効果的です。

Q2.鬼門による影響は、年齢や家族構成も関係ある？
A.子どもや高齢者がいる家庭では、裏鬼門の健康運などに影響がある可能性があります。ただし、すべての人に同じ影響が出るわけではありません。

Q3.鬼門に寝室があったら？
A.鬼門に寝室がある場合、特に「枕の向き」に注意を。北東を頭にするのは避け、落ち着いた色味・清潔な寝具を保つことで安心できます。

Q4.鬼門に階段があるとNG？
A.気の流れが上下に乱れるため、運気が安定しづらくなるとされています。手すりや絵画、観葉植物で「気の流れを整える」ことで運気が安定します。

Q5.鬼門はマンションやアパートでも気にしたほうがいい？
A.建物全体の中心ではなく、自室の中心から方角を見て判断します。ワンルームでも家具配置などで対応可能です。

Q6.賃貸マンションで鬼門対策する方法は？
A.間取り変更が難しい場合、インテリアや色・香りで整えるのが効果的です。植物やアロマ、清掃で“動的な風水”を実践しましょう。

Q7.鬼門が気になる時、どこに相談すればいい？
A.家相や風水に詳しい建築士や、一部の神社仏閣で相談可能です。信頼できる専門家を選ぶことが大切です。

鬼門や裏鬼門を怖がらないで。十分対策できます！

鬼門や裏鬼門と聞くと、文字のインパクトもあいまって怖く感じてしまいがちですが、今は十分に対策できますのであまり気にしなくても大丈夫です。

「良くないかも…」と思いつめると、逆にそれが悪い気を呼び込んでしまうこともあります。「三所に三備」の状態よりも、自分が気持ち良く毎日を過ごせるか、気持ちの持ちようのほうが大事といえます。

ただ、気になる方は、今回の記事で紹介したように簡単に対策できるものばかりなのでぜひ試してみてくださいね。

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