二十四節気「穀雨(こくう)」とは?意味や由来、行事を解説

穀雨(こくう)とは?

穀雨とは、二十四節気の1つで、清明の次に来る、春から夏に向かう時期を表す6番目の二十四節気です。

地上にある「穀」物に天からの恵みである「雨」が降り注ぎ、たくさん水分を溜め込んで元気に育っていく頃を表しているのが穀雨です。

時期としては、春を迎えて久しく、みずみずしく青々とした植物が目立つようになった4月下旬から5月初旬の季節を指します。

陽気な気候が続き、大地が暖かく緩み、豊かな雨で大地が潤い、植物の育成に適した気候にあたるため、昔から穀雨は田植えや種まきの目安の時期とされてきました。

ちなみに、穀雨には「甘雨(かんう)」「瑞雨(ずいう)」「木の芽雨(このめあめ)」「春霖(しゅんりん)」など、同じく春の恵みの雨を指す別称があります。

2025年の穀雨はいつ?

2025年の穀雨は、2025年4月20日(日)です。

二十四節気(にじゅうしせっき)とは?

二十四節気(にじゅうしせっき)とは、紀元前の中国で太陽暦を使用していた時代に、季節を表すものとして太陽の動きに基づいて誕生した概念です。

1年を「春・夏・秋・冬」の4つの季節に分類し、さらにそれぞれの季節を6つに分け、合計24等分したものに名称をつけたものです。それゆえ、二十四節気と名付けられました。ちなみに、「節」は中国語で「区切り」の意味があります。

四季の始まりを表す「立春」「立夏」「立秋」「立冬」は二十四節気の「四立(しりゅう)」と呼ばれます。

また1年で最も日が短い「冬至」、1年で最も日が長い「夏至」、昼と夜の長さが同じ日を「春分」「秋分」と呼ばれ、この4つは「四至(しし)」と呼ばれます。

二十四節気は1年の変化の法則を定めたものとして、2016年にユネスコの無形文化遺産に登録されています。

穀雨の第十六候、第十七候、第十八候とは?

二十四節には四季よりもより細やかに季節の移ろいを表す七十二候があります。

二十四節の1節をさらに約5日ごとに3等分し、1年を七十二に分けたもので、穀雨には第十六候、第十七候、第十八候があります。

第十六候は4月20日から4月24日頃で「葭始生(あしはじめてしょうず)」時期と呼びます。水辺の葭が青々と芽吹き出し、山や野の植物も成長が活発になり、辺り一面緑になる頃を表します。

第十七候は4月25日から4月29日頃で「霜止出苗(しもやんでなえいづる)」時期と呼びます。すっかり暖かくなって霜も降りなくなり、苗が芽吹き育ち始める様子を表しています。

第十八候は4月30日から5月3日頃で「牡丹華(ぼたんはなさく)」時期と呼びます。中国の代表花でもある百花の王・牡丹が開花し始める頃を表しています。

穀雨の時期に降る雨『百穀春雨』とは?

穀雨の名称は、「春雨が百穀を生む」または「春雨が降って百穀を潤す」という意味の「雨生百穀(うりゅうひゃっこく)」が由来だと言われています。

百穀はいろいろな穀物の意で、つまり、春季の最後の節季である穀雨の時期に降る雨は、あらゆる穀物を育む恵みの雨だということを示しています。

とはいえ、まだ梅雨の時期には遠いため、この時期が1年の中で特段雨が多いというわけではありません。

しかし、穀雨が過ぎると次第に降水量が多くなり始めることから、この時期までに野菜の種まきや田植えをするべきと言われています。

穀雨の行事や風習とは?

昔から「清明になると雪が降らなくなり、穀雨になると霜が降りることもなくなる」という言葉があり、穀雨になると完全に冬服や暖房器具とは別れ、冬支度のものを仕舞って暖かな季節の暮らしに切り替えます。

そして前述したように田んぼに苗を植え、野菜の種まきをして、穀物や植物を育てる準備をします。

穀雨の終わり頃(5月初旬)になると、童謡でも聞き馴染みのある「八十八夜(はちじゅうはちや)」を迎えます。

「八十八夜」は茶摘みの初摘みを行う日で、この日に摘んだ茶葉を使った一番茶を飲むと無病息災で過ごせると言われています。

穀雨の旬の食べ物とは?

穀雨の時期に旬を迎える食べ物は、です。

10日間で一旬成長するため、竹の旬の時期という意味から「筍」という漢字があてはめられたと言われています。

またアスパラガスも旬で、冬の間に土の中で養分を蓄えた根が、穀雨の時期になると伸び出してきます。

他には、えんどうまめを早めに収穫したものを指すさやえんどうも旬を迎えます。

魚ではヤリイカが旬です。柔らかい身質で甘みがあるヤリイカは、春の食べ物らしさがあります。

穀雨の旬の花や植物とは?

桜が散った後の節季である穀雨に旬を迎える植物と言えば、藤の花が有名です。

可憐な小花がたくさん連なり、しなりと垂れさがる様に風流を感じます。また独特の甘い香りを発するのも特徴です。

藤はつる性落葉木本で他の木や岩に絡みついて成長する植物で、公園や植物園では藤棚を作ってカーテンのように花を密集させて鑑賞することが多いです。

また、大輪の花を咲かせ百花の王とも呼ばれる牡丹の花が開花し始めるのも、穀雨の節季です。

穀雨の過ごし方とは?

穀雨は降水量が多くなり始め、山や野の新緑が青々と輝く季節です。何か植物を育て始めるのに適した時期なので、野菜や花を育てるなら穀雨に種まきを済ませましょう

また、桜が散っても藤の花が満開になり、牡丹が開花し始める季節なので、行楽に出かけるにおすすめの時期でもあります。

筍やさやえんどうなど、早採りの野菜の身が柔らかく美味しい季節でもあるので、春の旬の食べ物に舌鼓を打つのも良いでしょう。

穀雨は恵みの春雨がたっぷり降る季節ですから、自然の恵みに感謝し、季節の風景を愛でたり、旬の味覚を楽しんだりと、恵みを存分に感じる過ごし方がおすすめです。

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