二十四節気「春分(しゅんぶん)」とは?意味や由来、行事を解説

春分(しゅんぶん)とは?

春分とは、二十四節気の1つで、啓蟄の次に来る、春の時候を表す4番目の二十四節気です。

春分といえば「春分の日」という国民の休日を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。

国民の祝日に関する法律によると、春分は「自然をたたえ、生物をいつくしむ日」とされ、春の始まりを表す「立春」から少しずつ日が長くなって温かさが増し、いよいよ本格的な春の訪れを感じる頃です。

また「暑さ寒さも彼岸まで」ということわざがあるように、春分は春のお彼岸の期間の中日にあたり、春の彼岸が過ぎると気温が上昇し、春の陽気を感じる日が多くなります。

2025年の春分はいつ?

2025年の春分は、2025年3月20日(木)です。

二十四節気(にじゅうしせっき)とは?

二十四節気(にじゅうしせっき)とは、紀元前の中国で太陽暦を使用していた時代に、季節を表すものとして太陽の動きに基づいて誕生した概念です。

1年を「春・夏・秋・冬」の4つの季節に分類し、さらにそれぞれの季節を6つに分け、合計24等分したものに名称をつけたものです。それゆえ、二十四節気と名付けられました。ちなみに、「節」は中国語で「区切り」の意味があります。

四季の始まりを表す「立春」「立夏」「立秋」「立冬」は二十四節気の「四立(しりゅう)」と呼ばれます。

また1年で最も日が短い「冬至」、1年で最も日が長い「夏至」、昼と夜の長さが同じ日を「春分」「秋分」と呼ばれ、この4つは「四至(しし)」と呼ばれます。

二十四節気は1年の変化の法則を定めたものとして、2016年にユネスコの無形文化遺産に登録されています。

春分の第十候、第十一候、第十二候とは?

二十四節には四季よりもより細やかに季節の移ろいを表す七十二候があります。

二十四節の1節をさらに約5日ごとに3等分し、1年を七十二に分けたもので、春分には第十候、第十一候、第十二候があります。

第十候は3月20日から3月24日頃で「雀始巣(すずめはじめてすくう)」と呼びます。昼の時間が少しずつ伸び雀の繁殖期を迎え、巣作りを始める様子を表しています。

第十一候は3月25日3月29日頃で「桜始開(さくらはじめてひらく)」と呼びます。字の通り桜の花が咲き始める様子を表しています。

第十二候は3月30日から4月3日頃で「雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)」と呼びます。夏の雷のような激しいものではなく、1つ2つ鳴って消えていくような「春雷」の訪れを表しています。

春分の日は昼と夜の長さが一緒?

春分の日は、その年の太陽が「春分点」を通過する日を観測して決められます。

春分点とは、赤道から天球まで延長した線の「天の赤道」と、太陽の通り道を指す「黄道」が交わる2つの交点のうち、黄道が南から北へ交わるポイントを指します。

つまり太陽が赤道上にある状態のため、日の出から日の入りまでちょうど地球の180度分となり、春分の日は地球のどの地域にいても昼と夜の長さが同じになります。

しかし、厳密には昼の時間の方が若干長いとも言われています。

春分の日を境にどんどん昼の時間が長くなり、太陽の光で空気が長時間暖められ、気温が上昇していきます。

春分の行事や風習とは?

春分には、お墓参りをする風習があります。

前述したように春分は春の彼岸の中日にあたり、春分の日を中心に前後3日間の計7日間が春の彼岸となります。

彼岸は「人間の迷いや煩悩がないあの世」を意味し、彼岸の期間はあの世とこの世が最も交わりやすい日とされています。

そのため、この機に亡くなった方々を偲んだり、極楽浄土に近づけるよう先祖供養を行ったりする風習が古くからあります。

また、日本では宮中祭祀の1つ「春季皇霊祭(しゅんきこうれいさい)」が行われます。

皇祖の御霊を祀り神に感謝を捧げることを目的とした大祭で、天皇みずからが御告文(おつげぶみ)を奏上する重要な儀式です。

春分の旬の食べ物とは?

春分の旬の食べ物といえば、ぼたもちです。

ぼたもちは、おはぎと同じく彼岸に食べられる食べ物で、どちらももち米をあんこで包んだ和菓子です。

牡丹の花に似ていることから春の彼岸に作られるのが“ぼたもち”、萩の花に似ていることから秋の彼岸に作られるのが“おはぎ”と呼ばれています。

あんこには魔よけの力があるとされているため、彼岸と此岸が最も近づく彼岸の日に食べられるようになりました。

ちなみに春の彼岸では冬を越した固い小豆を使うため、皮を除いたこしあんが主流になります。

春分の旬の花や植物とは?

春分の旬の花といえば、やはり桜です。

「桜始開(さくらはじめてひらく)」と言われる春分の第十一候頃になると全国で開花宣言のニュースを目にするようになります。

他には、ぼたもちの由来となった牡丹です。

可憐な花弁がたくさん重なった大きな花が特徴で、その雄大さから百花の王とも呼ばれています。古くから短歌や文学の題材になったり、着物の文様としても用いられたりしてきました。

桜のように木に花をたくさん咲かせる木蓮も春分が見頃です。

木蓮は地球上で最も古くからある植物と言われ、恐竜がいた時代の層から化石として発見されています。

春分の過ごし方とは?

春分では彼岸を迎えることからお墓参り仏壇周りの清掃をするのが一般的です。

お彼岸にお墓参りをするのは仏教の習いですが、日本では宗教に関係なく春分の時期の風習になっています。

お彼岸に合わせて仏壇の掃除をしたり、お供えをしたりして、先祖供養しましょう。仏壇や仏具は水を使わず、ホコリを払い落としたり、乾拭きをしたりして掃除をしてください。

合わせて日頃の行いを見直したり、ご先祖様への感謝の気持ちを再認識したりするのも古くからの習わしです。

また、陽気な気候になり、桜も咲き始める季節ですので、花見や行楽に出かけて四季の移ろいを肌で感じるのもおすすめです。

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