
インナーチャイルドとは?
「インナーチャイルド」とは「内なる子供の心」を指します。ここでいう「子供の心」というのは、「幼少期の自分の心」を指し、幼少期に受けた心の傷や行き場のない感情、消化しきれなかった経験が心の奥にくすぶり続け、成長して大人になってもなお精神的な影響を与える「内なる子供の心」のことを言います。
よく「童心に帰る」「子供心がくすぐられる」といった表現がありますが、インナーチャイルドはこうしたポジティブなイメージとは異なり、いわばトラウマや満たされなかった感情的なニーズなどネガティブなものを指します。
インナーチャイルドは、普段は無意識下の潜在意識の領域にあり、本人すら気づかないこともありますが、トラウマをなぞった時にふと幼少期のネガティブな感情が表に出て、思考や行動パターンに大きく影響を与える場合があります。
なお、インナーチャイルドは年齢・性別関係なく、全ての人の中に存在していると言われています。
目次

インナーチャイルドが傷つくとは?
「インナーチャイルドが傷つく」とは、幼少期の経験から植えつけられたトラウマや心の傷が自分でも気づかぬうちに心の奥底に溜まり、大人になってからもその心に溜まったものが行動や感情に影響を与えることを指します。
たとえば、親から虐待を受けたり、愛情が希薄だったり、逆に過度な期待を受けたり、多すぎる習い事を受けさせられ行動が制限されたりなどといったことがインナーチャイルドを傷つけ、その後の長い人生において知らず知らずのうちに問題を引き起こす原因となってしまうのです。
インナーチャイルドが傷つくかどうかは家庭環境や生育環境によるものが大きく、また幼少期であることから自分で自衛、対策することがどうしても難しいという特徴があります。
傷ついたインナーチャイルドによる影響は?

インナーチャイルドが傷つくと、成熟した精神を持つ大人へと成長していくことが難しくなります。
具体的な症状でいうと、自己肯定感の低さや、感情の不安定さ、過去のトラウマの再体験による激しい動揺などといった症状を引き起こすことがあります。これにより他人との信頼関係を築くのが困難になったり、逆に他人に過剰に依存したりといったトラブルが引き起こされ、人間関係で苦しむケースがよく見られます。
また、これらの影響は無意識のうちに現れることが多く、意識的にセーブしたり、回避したりすることが難しいというのが現状です。そのため、自分のインナーチャイルドが傷ついていることを理解し、インナーチャイルドを癒す適切なプロセスを進めていくことが大切です。
インナーチャイルドとアダルトチルドレンの違いは?
インナーチャイルドとアダルトチルドレンは似た言葉ですが、原因や症状といった点で違いが見られます。
インナーチャイルドは幼少期のトラウマによって傷ついた心や負の感情そのものを指すのに対し、アダルトチルドレンは幼少期に受けた虐待や過度なストレスの影響により大人になっても生きづらさを感じる人のことを指します。
つまり、本人の自覚のないまま傷ついたインナーチャイルドを抱えている人が、無意識に出る不安定な感情や自己肯定感の低さなど、どこかが欠落したまま大人になってアダルトチルドレン(=大人になった子供)になるのです。
異なる言葉ですが両者は密接に関係しており、インナーチャイルドを癒すことでアダルトチルドレンを克服することができるのです。
インナーチャイルドを抱える原因は?

インナーチャイルドを抱える原因は、これまで説明した通り、幼少期にあります。
一般的に10歳くらいまでの身体的・精神的に未発達の時期に、虐待による暴力や精神的なストレスを受けたり、生育環境である家庭に何らかの問題を抱えていたりして、それらが心の傷になって引き起こされます。
幼少期に受けるトラウマは自分で回避したり、克服したりすることがほぼ不可能です。特に家庭環境は子供が改善することは難しく、「言っても変わらない」と自分の感情を押し殺すことに慣れたり、「嫌われないようにしないと」と周りの目を気にして憶病になったりします。
そうした習慣や考えが大人になっても抜けず、子供の頃と同じような行動や思考回路になってしまうのです。
インナーチャイルドが影響する人生のあらゆる場面
ここでは、幼少期の心の傷や未解決の感情が、現実の生活や行動にどのように表れるかを具体的に解説していきます。
- 恋愛や人間関係への影響
- 仕事・キャリアへの影響
- 日常生活や自己成長への影響
- 心理的パターン
幼少期に十分に愛情を受けられなかった場合、恋愛で過剰に依存したり、逆に距離を置きすぎたりする傾向が見られます。相手の態度に敏感になり、不安や嫉妬が強くなることがあります。
自己肯定感の低さから、能力を過小評価して挑戦を避ける傾向があります。完璧主義や過剰な責任感が強くなり、疲弊しやすくなります。
感情を抑えたり、怒りや悲しみが突然出たりするなど、感情コントロールが難しいことがあります。過去のトラウマや失敗体験が足かせとなり、新しい挑戦に踏み出せないことも。
「見捨てられるのが怖い」「認められたい」という無意識の欲求が行動に影響を与えます。幼少期の経験が、現在の選択や人間関係のパターンとして繰り返されやすいです。
インナーチャイルドが引き起こす主な特徴
それでは、インナーチャイルドが引き起こす主な特徴について、詳しく解説していきます。
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自己否定感や自信のなさ
インナーチャイルドが引き起こす主な特徴として、最も多く挙げられるのが「自己否定感や自信のなさ」です。
何かトラブルが起こった時に、明確に自分に原因がなくても「自分が悪い」と思ってしまうのは、インナーチャイルドが傷ついている証拠。すぐに謝ったり、「自分なんて」と自分を卑下する言葉が出てきたり、自虐的な行動を取ったりしてしまいます。
インナーチャイルドが傷ついている人は愛されるなど自己肯定感を高めることが少ない環境で育ってきた人が多いため、自分を否定する思考が癖になっているのです。また、自己否定する度に、さらにインナーチャイルドを傷つけるという悪循環を引き起こしています。
人への依存や孤立傾向

2つ目の特徴として、対人関係がスムーズにできないことが挙げられます。
幼少期に周りから怒られることが多かったため、「自分は他人を怒らせてしまう」「相手を傷つけてしまうかも」という不安を抱くようになります。そのため人と関わることが引け腰になったり、他人を心から信用できずに孤立してしまったりすることがあります。
また、その反対に、人に嫌われることに過敏になって過度に他人に依存したり、執着したりする傾向も見られます。たとえば、恋人に振られた時に「何でもするから捨てないで」といってしがみつく人は、インナーチャイルドが傷ついているのかもしれません。
漠然とした不安や恐怖感
インナーチャイルドが傷ついている人は、幼少期に適切に愛情を与えられてこなかった人が多いため、自分に自信がなく、漠然とした不安や恐怖感を抱えていることが多いです。
大人になっても愛情不足による欠乏感が残り、「これなら大丈夫」と心から安心することができないのです。そのため、石橋を叩いて渡るように入念に準備をしないと気が済まなかったり、ネガティブな発想や発言がよく出たり、失敗を恐れてやりたいことに挑戦できなかったりといったことがあります。
本当なら実現する実力があっても、自分自身がそれに気づかず、可能性を潰してしまっているのです。
感情のコントロールが難しい

インナーチャイルドが傷ついている人は、些細なことで過剰にイライラしたり、悲しんだり、喜んだりと、強い感情反応を示すことがあります。
他人からの愛情をあまり感じずに過ごしてきた幼少期から他人の顔色を窺い、自分の感情を抑えてきたため、自分の感情を素直に表に出すことに慣れていません。その結果、我慢して我慢して抑えてきた末に爆発すると、自分でも抑えられないくらい感情的になり、衝動的な行動に出ることがあります。
そうして失敗をしてまた自己否定感が強くなり、自信を喪失し、また殻に閉じこもってしまう…ということを繰り返しやすいのです。
自分や他人に厳しくなる
インナーチャイルドが傷ついていると、強い不安感から他人を厳しく批評したり、コントロールしようとしたりすることもあります。
インナーチャイルドが傷ついている人は自己肯定感が低く、常に漠然とした不安や恐怖心を抱えているため、物事が思い通りにいかないと強い焦りを覚えます。そのため、安心できるよう強く他人をコントロールするという行動に出てしまうのです。
また、自分が幼少期の頃に親に厳しく躾けられてきた経験から、優しく諭すという方法がわからず、他人に対して同じように厳しく接してしまうというケースもあります。
インナーチャイルドを癒すメリットとは?
それでは、インナーチャイルドを癒すとどんな効果が期待できるのでしょうか? いくつかのメリットを紹介していきます。
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自己肯定感が高まる
他人から怒られたり厳しく躾けられたりした過去の苦い経験から受けた心の傷や、飲み込めずにいたモヤモヤした未解決の感情を処理することで、自分を否定する思考がなくなり、自己肯定感が高まります。
自己肯定感が高まると自信を持って発言できるようになったり、意欲的に他人に関わろうとする気持ちも湧いたりして、対人関係が改善され、さらに自分に自信を持てるようになります。
また、自己肯定感が高まると物事をポジティブに考えられるようになり、不安や恐怖心が薄れて心の負荷が軽くなって、“生きやすさ”と”楽しさ”を感じられるようになります。
感情が落ち着き、安定する

傷ついたインナーチャイルドは、大人になってからも言葉や行動に大きな影響を与え、良好な人間関係の構築や将来の展望を持つことを阻害してしまいます。
しかし、インナーチャイルドが癒されると過去のトラウマによる不安定な精神状態が緩和され、安定するようになります。これにより些細なことで心が乱されることがなくなり、余裕を持って他者や物事に対応できるようになります。
また、精神状態が安定することで恐怖心や猜疑心が解消され、柔軟な思考回路を持てるようになります。いろいろなことに挑戦できるようになり、新しい可能性が開けるようになります。
人間関係が円滑になる
劣悪な家庭環境による周りの人への憎悪や不信感が、傷ついたインナーチャイルドを増大させてしまう例もあります。そのため、大人になっても他人を心から信頼できず、一線を引いた交流になったり、他人に愛情を求めすぎて関係が壊れてしまったりしがちです。
しかし、インナーチャイルドが癒されると、他の人に対する憎悪や不信感が薄まり、健常な精神状態でコミュニケーションが取れるようになります。
それにより円滑な人間関係が築けるようになり、仕事もプライベートもより楽しく過ごせるようになります。交友関係も増え、チャンスや新しい出会いも得やすくなります。
過去のトラウマの影響が減る

インナーチャイルドは、幼少期の強烈なトラウマが原因で傷つくケースが多いです。しかし、インナーチャイルドが癒されると過去のトラウマの傷が薄まり、トラウマによって植えつけられた恐怖心がなくなります。
自分を否定する辛い経験を癒すことで心が解放され、生きやすくなり、現在の生活の質をより良くさせることができます。
また、トラウマに触れるとすぐに委縮するようなことがなくなり、ストレス耐性も高まります。これにより、積極的に物事に対応できるようになり、突然のトラブルや困難にも柔軟に対処できるようになります。
前向きな行動がしやすくなる
インナーチャイルドが癒されると自分を否定する過去の記憶が薄まり、自己肯定感が高まって、考え方がポジティブになって前向きな行動がしやすくなります。
また、子供の頃に抑圧していた純粋な好奇心や喜びが解放され、様々なことに興味を抱いたり、あらゆることにチャレンジしたりする意欲が湧いてくるようになります。これによりライフワークが充実して、毎日が生き生きとするようになります。
前向きな行動により成功体験が増え、より自信がつき、さらに行動的になるなど良い循環も生まれます。このように、インナーチャイルドを癒すことは、大きな自己成長に繋がるのです。
インナーチャイルドを癒す方法を紹介
最後に、インナーチャイルドを癒す具体的な方法について解説していきます。
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インナーチャイルドと対話する
まずは、もう1人の自分と呼ぶべき“内なる自分”のインナーチャイルドを自覚し、認めてあげることが大切です。存在を認め、理解してあげることが癒しの第一歩です。
幼少期に感じたモヤモヤや、満たされなかった気持ち、寂しかった記憶など、これまで見て見ぬふりをしてきた幼い頃の自分の心と向き合いましょう。とはいえ、無意識の中に刷り込まれていることが多いため、きっかけとなった具体的な出来事を思い出すのは容易ではないかもしれません。
その時は、自分が何について感情が大きく動いたのか、メモに取って分析してみましょう。書き出していくうちに自分の傷ついたインナーチャイルドの傾向が掴めるはずです。
また、幼少期の頃の写真や作文を見返したり、周りの人から当時の話を聞いたりするのも、遠い記憶を呼び起こすのに効果的です。
自分の感情に向き合い、出し切る

傷ついた自分のインナーチャイルドを自覚したら、次は「怒り」や「悲しみ」といった当時の記憶が押し寄せてくるはずです。無意識化に押し込んでいた自分の感情と向き合い、表に出し切りましょう。
不快な感情を受け入れることは勇気が必要ですが、その感情を認めてあげないと、心の傷を隠し押し込めた状態が続いてしまいます。
ただ、心のままに思い切り感情を出し切れるよう、安全な環境下で行ってください。言葉に出して感情を発散させてもいいですし、紙に書き出すのも、心許す友人やパートナーに聞いてもらうのもおすすめです。
ただ、一度で全ての感情を出し切るのは難しいので、人によっては時間がかかる場合もあります。その時は焦らず、吐き出したい感情が出てきたら、出し切って、また吐き出したい感情が出てきたら…と繰り返しながら、少しずつ心を軽くしていきましょう。
トラウマや辛い記憶を整理する
次に、「傷ついた過去の自分」という事実を認め、自覚しましょう。安心できる落ち着いた場所で目を閉じ、遠い記憶を呼び起こしてトラウマや辛い記憶を整理していきます。
どこで、誰に、何を言われて悲しかったのか。または怒りを感じたのか。
大切なのは、当時何に対して自分が何を感じたかにフォーカスを当てること。
「あの時は状況的に仕方なかったのかもしれない」「自分が怒らせてしまったからだ」などと他の人に配慮する必要はありません。確かにあなたは傷ついたのですから、それは認め慰められるべきことなのです。
記憶を整理する途中で泣きたくなれば、涙をこらえず、その感情と向き合ってあげてください。辛いプロセスかもしれませんが、ここを乗り越えないと真にインナーチャイルドを癒すことができません。
自分自身に肯定的な言葉をかける

インナーチャイルドを自覚し、きっかけとなった過去のトラウマと向き合い、押し込めていた感情としっかり向き合ったら、次は一から自己を構築していくプロセスに進みましょう。
「自分なんて」「自分には無理」といったネガティブな発想は捨て、「辛くてもここまで頑張れた」「こんなことができるようになった」と、些細なことも全て拾って自分自身に肯定的な言葉をかけてあげましょう。
幼少期に親や周りの大人があなたに投げつけた否定的な言葉は「間違っていたんだ」と強く思うことも大切です。「自分が悪かったかも」と事実を曖昧にしたり、自分で自分を否定したりしてしまえば、また本当の自分を押さえつけることになってしまいます。
まずは、あなた自身があなたを認めてあげましょう。
心理カウンセリングを受けてみる
ここまで紹介したプロセスを通じて自分自身でインナーチャイルドを癒す方法もありますが、無意識下に閉じ込められた辛い過去と向き合い、インナーチャイルドと向き合い、問題を解消していくことはそう容易ではないかもしれません。
「うまくできない」という人や、やり方が合っているのか不安な人は、プロの心理カウンセラーとともにインナーチャイルドを癒していくという手段もあります。自分では気づけなかったことに気づけたり、効果的な解決方法をアドバイスしてくれたりすることもあります。
また、心の傷は1人で発散するよりも、誰かに聞いてもらうことでよりスッキリしたり、心の整理がつきやすくなったりします。
仲がいくら良くても、親や友人にそう簡単に心の傷を見せられるわけではありません。プロの人だからこそ、安心して心の内を見せられるというメリットがあります。
インナーチャイルドを癒せば、自分を好きになれる

インナーチャイルドは、私たちの心の奥底に今も息づいている、幼少期の自分です。大人になって表面上は感情をうまく隠せたとしても、隠し耐える度に確実に心の傷は増えていっているはずです。
まずは、インナーチャイルドを自覚し、向き合って、少しずつインナーチャイルドを癒してあげましょう。インナーチャイルドを癒せば生きやすくなるだけでなく、人生が充実し、人間関係も円滑になります。
より幸せな人生を掴むため、今回紹介した方法で自分のインナーチャイルドと向き合ってみてくださいね。


































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