人心掌握の意味は?長けている人の特徴や人の心を掴む方法を解説

人心掌握(じんしんしょうあく)の意味は?

人心掌握(じんしんしょうあく)とは、その字の通り、人の心を掌握(支配)することを指します。

『実用日本語表現辞典』では「他人の心を意のままに操ること」「意図した方向へ他人の心をうまく向かわせること」と説明されています。

特にビジネスシーンにおいては自分側に有利な条件で交渉ができるため、非常に有意義な人間スキルの1つといえます。

また「自分の意のままに操る」というと聞こえは悪いですが、強制的ではなく、あくまで相手の意思で動くというのがポイントです。しかし、一方で「自分のために相手の心を操る」というネガティブな意味で使われることもあります。

なぜ、人心掌握が必要?

なぜ、人心掌握が必要なのかというと、人間関係が円滑になったり、仕事での交渉を有利に進められたりと、コミュニケーション面とビジネス面で利点があるからです。

世の中には様々なタイプの方がいます。学校や職場、ご近所付き合いにおいて、人を選ぶことはできません。人間関係がこじれると学校や職場に通うのが億劫になったり、十二分に動けなくて成果が出せなかったりと、マイナスな作用があります。

しかし、人心掌握術をマスターしていれば、どんな人がいる環境でも良好な人間関係を築け、自分の思い通りに物事を進めることができるようになります。

仕事や恋愛で効果的! 人心掌握のメリットは?

人心掌握術を覚えると、仕事や恋愛で大きなメリットを得られます。

たとえば仕事では、上司や取引先からの印象が良くなり、たとえ目立った成果を上げていなくても「信頼感がある」と評価されたり、仕事のチャンスが回ってきやすくなったりします。

また、多少の失敗をしても、「○○さんなら」と大目に見てくれることもあります。

恋愛では、人心掌握術を駆使することで好きな人を振り向かせやすくなります。警戒心を下げ、親近感を与えて距離を縮めることができます。

自然な形で好感度を上げ、相手から告白させることも可能です。

◆仕事におけるメリット
  1. スムーズな連携で、業務効率が向上する
  2. 人間関係のトラブルが少なくなる
  3. チームをまとめるリーダーを任される
  4. 仕事で評価されやすく、出世にも繋がる
  5. 交渉事の成果や、営業の実績アップ
◆恋愛におけるメリット
  1. 相手の気持ちを汲み取り、行動に移せる
  2. 相手に安心感を与えられ、信頼される
  3. 相手の新たな魅力を引き出せる
  4. 自然と恋の主導権を握ることができる
  5. ケンカやすれ違いを未然に防げる

人心掌握に長けている人の特徴解説

人心掌握の意味は理解できましたが、具体的にはどんな人なのでしょうか? 人心掌握に長けている人の特徴を解説していきます。

  1. 相手に自分を弱者だと思わせられる
  2. アメとムチを上手に使い分ける
  3. ユーモアを交えて毒を上手に吐く
  4. 相手と秘密を共有するのが上手
  5. 相手の表情や行動など観察力が鋭い
相手に自分を弱者だと思わせられる

自分を弱者に見せることで、相手を“つい応援したくなる心理状況”にすることができます。これを、心理学ではアンダードッグ効果と言います。

相手の「可哀想」「何とかしてあげたい」という憐憫の情や庇護欲を誘い、絶対的な味方になってもらうのです。

たとえば、最近ではSNSで「発注ミスで大量に在庫があります! 助けてください!」とお店の人が発信すると、「助けたい」という人がたくさん集まり、あっという間に売り切れる事例をたびたび見かけます。

また、自分を低い位置に持ってくることで、周りの人からの嫉妬や敵意の対象から外れ、余計な人間トラブルを回避することができます。

アメとムチを上手に使い分ける

人心掌握に長けている人は、アメとムチの使い分けが非常に上手です。

相手からの好感を得るには「褒める」ことが効果的です。褒められて悪い気になる人はいませんし、「自分のことをよく見てくれているな」と相手への信頼や好感度がアップします。

しかし、褒めてばかりいるとただゴマをすっているだけの人に見え、逆に信頼を落としてしまいます。

怒ったり厳しくしたりすべき時はきちんとそうすることで、「褒める」行為も信用度が増します。また、的確に叱ってくれることで、より「自分のことをよく見ている」と愛情を感じる人もいるはずです。

ポイントは、後を引かないこと。手短に叱る点だけ伝え「はい終わり!」と悪い雰囲気を引きずらないテクニックを使えるのが、人心掌握に長けている人です。

ユーモアを交えて毒を上手に吐く

人心掌握に長けている人は、毒を吐くのも上手です。

たとえ自分が悪いと分かっていても、他人から注意されたり、否定をされたりするのはいい気がしないもの。相手の性格次第では相手を傷つけたり、ケンカになったりすることもあります。

しかし、人心掌握に長けている人は、上手に話の流れに組み込んだり、ユーモアに交えたりして毒を吐くので、相手に不快感を与えずに注意を伝えることができます。

面白く伝えられたら悪い気がせず、素直に毒を受け止めることができますし、場を盛り上げるブラックジョークとして大勢の人を同時に楽しませることができます。

相手と秘密を共有するのが上手

他の人には内緒という大事な秘密を打ち明けられたら、「自分のことをそれほどまでに信頼してくれているんだな」と親密な気持ちになったことはありませんか?

人心掌握に長けている人は、秘密を共有して「特別な関係」を演出するのがとても上手です。

まずは自分から弱さや悩みなど秘密を打ち明けて、相手の心をグッと掴みます。うまくいけば相手からも「じゃあ私も…」と秘密を打ち明けてくれるので、さらに絆を深めることができるのです。

また、「秘密の共有」は心理的な連帯感を生み出します。絆が深まるだけでなく、困っていたら助けてくれたり、大事な場面で味方になってくれたりするのです。

相手の表情や行動など観察力が鋭い

相手の表情や行動などへの観察力が鋭いのも、人心掌握に長けている人の特徴です。

相手の何気ない所作や視線、表情の機微には、その人の本心が隠れています。人心掌握に長けている人はそれらを鋭く察知できるので、相手の心や性格に寄り添った対処ができるのです。

たとえば、いつもより元気がない人に「何かあった? 私にできることはある?」と親身に寄り添って慰めたり、機嫌が良い人に「良いことあったの? 教えて!」と自尊心をくすぐったりと的確に対応することで、より信頼感がグッと上がるのです。

また、人心掌握に長けている人は鋭い観察力で深いところまで詮索しすぎないという絶妙な塩梅を理解しているというのも特徴の1つです。

人心掌握術を身につけるための具体的な方法を紹介

それでは、人心掌握術を身につけるには、どうすればいいのでしょうか? 具体的な方法を紹介していきます。

  1. 相手をよく観察する習慣をつける
  2. 相手と同じ速度で話をする
  3. 相手の言葉を繰り返し言う
  4. 適切なタイミングで相手を褒める
  5. 自分と相手だけの秘密を共有する
相手をよく観察する習慣をつける

人心掌握の基本は、相手の心を読み、その心理を利用して心を掴むことです。

「褒める」「弱みを見せる」など人心掌握のテクニックはいくつかあれど、人それぞれ性格が違うので、すべての人に同じように効果があるとは限りません。

また、自分が落ち込んでいる時に「弱っているの」と助けを求められても困るように、相手の調子によっては神経を逆なでしてしまう恐れがあります。

そのため、日頃から相手をよく観察して、相手の性格や今の気持ちなどを掴む習慣をつけましょう。毎日のように相手を見ていれば、些細な声のトーンの変化などに気づけるはず。そうした細かい気づきが、相手の信頼感を生むのです。

ただし、詮索のしすぎはNG。なかには秘密主義の人もいますので、その人が居心地が良いと思える距離を保つようにしましょう。

相手と同じ速度で話をする

簡単だけれども意外に効果があるのが、「相手と同じ速度で話をする」という人心掌握テクニックです。誰かと話す時は、相手の目を見て、相手の話す速度に合わせて話しましょう。

たとえば、ゆったり話す人の場合、相手がハイスピードでぺちゃくちゃと話していたら圧倒されますし、話を挟むスキが分からなくて悶々とした時間を過ごすことになります。逆に速いテンポで話す人の場合、相手にゆったり話されたらイライラしてしまいます。

また、心理学的に、人は同じテンポで会話をすると、相手に安心感や親近感を得ると言われています。この心理状況と同じく、歩くペースや食べるペースも相手に合わせると、さらに心の距離が近づきやすくなります。

相手の言葉を繰り返し言う

「相手の話す速度に合わせる」と同じく、今から簡単に使える会話テクニックがもう1つあります。それは、「相手の言葉を繰り返し言う」という人心掌握テクニックです。

うんうんと相槌を打つだけでなく、相手が言った言葉をそのまま繰り返してみてください。そうすると、相手はただ相槌を打った時よりも「自分の話をよく聞いてくれている」「自分の話を理解、共感してくれている」と感じることができます。

そうして、ただ話しているだけでも信頼関係を築きやすくなるのです。

これは心理学で「バックトラッキング(オウム返し)」と呼ばれるテクニックで、営業などビジネスの場でもよく使われています。ただ、オウム返しするだけでなく、話の合間に相手の話を簡単に要約したものを同じ言葉を使って挟むと、さらに効果的です。

適切なタイミングで相手を褒める

適切なタイミングで相手を褒め、相手の自己肯定感を高めるのも有効な人心掌握テクニックです。

前述したように、人は褒められると嬉しい気持ちになるもの。さらに、自分を褒めてくれた相手に対して「自分を認めてくれた人」「自分を必要としてくれている人」という認識を抱きます。

そうすると自ずと好感度が上がり「心地が良いからもっと一緒にいたい」「私も相手を認めてあげたい」という心理が働くのです。自己肯定感をくすぐられた人は、またあなたに褒められたいと、あなたの利になる行動を取るようになります。

また、その人の性格に合った褒め方をするとより効果的です。たとえば自尊心が強い人はみんなの前で褒められるとより喜びますし、奥手な人は2人きりの時に褒められたほうが素直に受け取ってくれるはずです。

自分と相手だけの秘密を共有する

自分と相手だけの秘密を共有して、特別な繋がりを得るのも人心掌握テクニックの1つです。これは心理学で「クロージング効果」と呼ばれるもので、相手に自己開示を行うことで相手の警戒を解き、お互いをより身近に感じられるようになる心理効果です。

社会心理学や恋愛心理学では、この効果が人間関係の構築に大きな影響を与えるとされており、ビジネスの場でも恋愛の場でも使える効果抜群のテクニックの1つです。

ただ、気をつけなければならないのは、いろんな人と親密になりたいからといって同じ秘密を他の人に共有しないということ。バレると大きな信用問題になり、二度と信頼してもらえなくなる恐れもあります。

1人1人丁寧に向き合うことを心がけましょう。

人心掌握が上手な有名人を紹介

ここでは、人心掌握が上手な有名人を3名、ご紹介いたします。

  1. スティーブ・ジョブズ(Apple創業者)
  2. 革新的なビジョンとプレゼン力で、多くの社員や顧客の心を掴んできたと言われています。強烈なカリスマ性と、人の才能を引き出す指導力が評価されています。

  3. オバマ元大統領
  4. 演説力・共感力が非常に高く、多様な層から信頼を集めました。表情・声の抑揚・言葉の選び方が絶妙といえます。

  5. 明石家さんま(お笑いタレント)
  6. 場の空気を読む力と、相手に合わせて話す能力が非常に高いとされています。毒舌やツッコミも人を傷つけない絶妙なラインで、愛されキャラとして人気が高いです。

人心掌握を身につけ、良好な人間関係を築こう

「人心掌握」と聞くと相手を意のままに操るネガティブなイメージを持つ人もいますが、決して悪いものではなく、自分も相手もハッピーになるテクニックなのです。

むしろ、人心掌握の基本は「与えること」にあります。相手の気持ちに寄り添い、自己肯定感を高め、喜びややりがいを与える。

まずは、自分から与えるからこそ相手の心を掴むことができることを意識すれば、きっとあなたも人心掌握マスターになれるはずです。

相手への愛情や思いやりの心を持って、今回紹介したテクニックを試してみてください。仕事でも恋愛でもより「生きやすさ」を実感できるようになりますよ。

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