八方美人とは? 正しい意味を解説
八方美人とは、広辞苑では「誰からも良く思われようと、如才なく振る舞う人」とされています。
語源は「八方=四方(東・西・南・北)+四隅(北東・北西・南東・南西)の8つの方角」に対して美人、つまり「どこから見ても美しい人」という意味からきています。
一見褒め言葉に見えますが、広辞苑にも「多くは非難を込めて使う」とあり、一般的には「どの人にもいい顔をする人」と揶揄する意味で使われています。
人当たりは良いのですが、人に嫌われたくないために態度をコロコロ変えて本心が見えないことから敬遠されることが多いようです。
目次
八方美人の特徴10選
ここからは、八方美人がどんな人なのか、性格や行動など、あらゆる特徴を深堀りしていきます。
1.誰に対しても、いい顔をする
八方美人の人は、他人に嫌われたくないという思いが強いため、角が立たないよう誰に対してもいい顔をするのが最大の特徴です。
良く思われたいために、相手をよく褒めますが、簡単に多用するため本心が伴っていないように聞こえて、逆に距離を置かれることも。
褒めたり調子を合わせたりするだけでなく、いい顔をするためにできないことも安請け合いして最後はキャパオーバーしてできず、結局、周りに迷惑をかけてしまうこともあります。
2.自分の噂に敏感なところがある
八方美人の人は、他人から嫌われるのが怖いため、自分が周りからどう思われているのか気になってしまいがち。
必要以上に他人からの評価を意識しており、自分の噂にはやたらと敏感です。
自分の噂を聞き出すため、あえて人の輪に加わったり、色んな人の噂話を聞きつけたり、他人の顔色を窺って、自分がどう思われているかを知ろうとします。
なかには自分に悪い噂の矛先が向かないよう、他人の悪口を言って保身に走る人もいます。
3.言動がコロコロ変わる
八方美人の人は嫌われないよう相手の意見に合わせようとするため、接する相手によって言動がコロコロ変わります。
時には前に言ったことと正反対の意見を言ってしまい、場を混乱させることも。
また、口だけの人に思われたり、嘘つきに見られたりして、結局白い目で見られることも。
自分の意見を持たず、その場その場で相手の調子に合わせるため、本人でも自分自身の本音や意見がわからなくなり、自分を見失ってしまうこともあるようです。
4.自分の本音を話さない
本音を話すと嫌われてしまうかも…という恐れがあり、自分の本音は決して人に話さないのも八方美人の特徴です。
本音を隠すために、心にない適当なことを言ってお茶を濁したり、時には嘘をついてごまかしたりすることもあります。
しかし本音を隠すことで言動に一貫性が保てず、会話に矛盾が生じることも。
そうなると、結局「自分がない人」「本心で話さない人」というレッテルを貼られ、信用を失ってしまう場合もあります。
5.自分を守るために嘘や悪口を言う
普段は人当たりが良く、人を褒めることが多い八方美人の人ですが、時に自分を守るために嘘や他人の悪口を言うことがあります。
自分のミスをさりげなく他人のせいにしたり、他人の悪口を言ってその人の評判を落としたり…。
時には自分が感じている悪口を他の人が言っていたと変換して言うなど、言葉巧みに評判を操って良いポジションに収まろうとします。
しかし色んな人に悪口を言うので、陰口がバレてしまうことも少なくありません。
6.優柔不断なところがある
八方美人の人は、周りの人にどう思われるかが気になるあまり、自分で何かを決めたり、主張したりすることが苦手です。
周囲の反応や意見を伺いながらのらりくらりとかわすため、何かを決める時はとても時間がかかり、周りから見ると優柔不断な人に映ります。
また自分で決断したことが間違っていたり失敗したりすると自身の悪い評価に繋がるので、後で言い訳ができるよう誰かの意見に従ったり、他力本願になったりすることもあります。
7.信頼できる友人が少ない
本音で話せる人がほぼいないため、親友と呼べる人が少ないのも八方美人の人の特徴の1つです。
本心を語らないことで結果として相手から信頼を得られず、好かれるためにまた当たり障りのない八方美人な態度を取ってしまって、さらに信頼が得られなくなる…という、負のスパイラルに陥るケースも少なくありません。
また、常に心に鎧をかぶり、本音を隠して他人と接するため、外では心休まる時が少なく、ストレスを溜めてしまいがちです。
8.周りへの気配りが上手
「誰に対してもいい顔をする」と言われがちな八方美人の人ですが、裏を返せば、周りをよく見て他人の気持ちに寄り添った行動が取ることができます。
常に「この人には何をしたら喜ばれるか」「どういう返答を求められているのか」ということを念頭に置いてコミュニケーションを取っているので、気配り上手で、さりげないフォローも得意です。
時にビジネスシーンでは重宝するスキルといえます。
9.上司や目上の人から好印象
八方美人の人は気づかい屋で人当たりが良く、人が嫌がる仕事も頼んだらやってくれるので、上司や目上の人からの評判は高いです。
輪を乱すことなく、いつも笑顔で接しているので、表面上の付き合いになることが多い仕事の関係者から見ると「いい子」に映るのです。
またノーと言えない性格なので、上司からするとありがたい存在といえます。
しかし実力以上のことも引き受けてしまうので結果が出せず評価が下がる場合もあります。
10.愛想が良く平和主義
八方美人の人は、他人と揉めたくないため、基本的に平和主義者です。
誰に対してもニコニコ笑顔を振る舞い、愛想良く接します。
誰しも積極的に人と争いたくないものですが、場合によっては誰かと衝突しても主張を通さねばならない時があります。
しかし、八方美人の人は「嫌われたくない」「悪者になりたくない」という気持ちが優先されるため、意志を曲げても他人に合わせ、いい顔をして平和な日々を保とうとします。
八方美人の人は嫌われている?
「八方美人」というとネガティブなイメージがありますが、実際はコミュニケーション能力が高く、周りの人のことをよく見ているため、気づかいが上手といった良い面もあります。
時には自分の意思を引っ込めてでも他人との衝突を避けるため、八方美人の人がいればトラブルが起きてもうまく収まることが多いでしょう。
しかし、相手に合わせすぎると嘘っぽく見えたり、言動がちぐはぐになったりして、信頼を得られなくなるということが多々あります。
また、ノーと言えずに結局、周りに迷惑をかけることもあるため、嫌われるケースが多いようです。
八方美人の人に関する体験談を紹介
職場や趣味の集まりなど、あらゆるシーンで八方美人の人に嫌な思いをした人は少なからずいるそうです。どんな困った経験があるのか、具体的な体験談を紹介します。
誰に対してもいい顔をしているので、逆に裏で何を考えているのかわからない。気を許していないんだなと思う。(20代女性)
上司に頼まれたことをホイホイ引き受けるけど、結局間に合わずみんなで手伝わされた。できないなら、はっきり断ってほしい。(20代男性)
AさんにもBさんにもいい顔をしていたが、それぞれの悪口を陰で言っていて、結局バレてみんなから距離を置かれていた。(30代女性)
八方美人の人とうまく付き合うには?
それでは、八方美人の人とうまく付き合うには、どうすればいいのでしょうか? 3つの対処法をご紹介します。
1.適度な距離で接するようにする
誰に対してもいい顔をしていることにモヤモヤするなら、踏み込まず、適切な距離感で接することも大切です。
接する相手に合わせて、その場限りのことを言っている可能性もあるため、八方美人の人の言うことは話し半分くらいに聞いておいてもいいかもしれません。
深入りせず「あの人はあの人、私は私」と割り切れれば、相手の言動も気にならなくなるもの。
離れて見ることで、気配り上手などの良い面に気づけるかもしれません。
2.他人の悪口には同調しない
八方美人の人は、他人を下げることで自分の株を上げたり、「私はあなたの味方」というアピールで他人の悪口を言ってきたりすることがありますが、決して同調しないようにしましょう。
悪口に乗ってしまうと、今度は別の人に「あの人がこんな悪口を言っていた」と言われる恐れがあります。
八方美人の人に話したことは色んな人に筒抜けるものと心得て、悪口をスルーするだけでなく、どちらの味方かという明言も避けたほうが良いでしょう。
3.自分から心を開きすぎない
八方美人の人は口が軽く、保身のためにその人の悪口や秘密を他の人にバラすことがあります。
「ここだけの秘密ね」と言って話したことが、知らぬ間に周知の事実になっていることも…。
また、八方美人の人が話している内容もその場限りの嘘かもしれないので、信頼しすぎると、後で裏切りに気づいた時に大きなダメージを受けかねません。
当たり障りない交流なら良いですが、自衛のために自分から心を開きすぎないようにしましょう。
自分が八方美人だったら…やめるには?
なかには自分が八方美人なことで、悩みを抱えている方もいるでしょう。ここでは、八方美人な自分をやめる方法についてご紹介していきます。
1.自分に自信を持つ
誰にでもいい顔をして様子を窺ってしまうのは、自分に自信が持てないからです。
自信が持てれば「嫌われてしまうかも」という不安が解消し、自分らしく振る舞うことができます。
まずは1つ、これなら得意というものや自分の長所を見つけてあげましょう。
計算が得意、絵が好きなど、仕事でも趣味でも何でも大丈夫です。
自分に対するネガティブな思い込みを払拭できれば、本当の意味で他人に心を開くことができ、八方美人をやめられるでしょう。
2.素直に自分の意見を言う
八方美人の人は「これどう?」と言われたら、よく見もせずに反射的に「いいね」と答えたり、他人の意見に同調したりすることが身に染みてしまっています。
そこで1日に1回は自分の意見を言ってみるなどルールを決め、少しずつ自分の思いを人に伝える練習をしていきましょう。
対面で伝えづらいなら、まずはメールやSNSからでもOKです。
自分の思いを表現することに慣れる頃には、周囲の人からの信頼度も上がっているはずです。
3.周りの目を気にしすぎない
八方美人になってしまう一番の原因は「嫌われるかも」「失望させるかも」という不安です。
でも、あなたが思うほど、多少のすれ違いがあっても周りの人は気にしていないことがほとんどです。
周りの目を気にしすぎると、何が正解かわからなくなり、逆に相手にとって不愉快な言動を取ってしまう可能性もあります。
気をつかわれすぎて本心でないことを言われるよりも、真っすぐに向き合ってくれるほうが喜ばれることもありますよ。
八方美人の人は悪い人ばかりじゃない
非難の目を向けられることが多い八方美人ですが、元を正せば「色んな人と仲良くしたい」という気持ちが大きくなったもの。
協調性が高く気配り上手で、良いところもたくさんあります。
八方美人の人も自信が持てず、その人なりに悩んでいるのかもしれません。
本記事を参考に双方にとって良い関係性を築いていってください。