大寒(だいかん)とは?
大寒とは、二十四節気の1つで、一番寒さが厳しい冬の時候を表す24番目の二十四節気です。二十四節気の最後にあたる節気です。
大寒は「寒さが大きい」と書く字のごとく、1年で最も寒さが厳しい季節であることから、大寒と言われるようになりました。
実際に、国内の観測史上で最低気温を叩き出したのは1902年1月25日の大寒の時節で、北海道・旭川でマイナス41.0度が記録されています。
大寒の最後の日が節分の日にあたり、冬が終わり、新しい春を迎えます。言うなれば節分は大晦日にあたる節目といえます。そして新しい年を迎えるにあたり、節分で豆まきなどをして鬼=邪気を祓うのです。
2025年の大寒はいつ?
2025年の大寒は、2025年1月20日(月)です。
目次
二十四節気(にじゅうしせっき)とは?
二十四節気(にじゅうしせっき)とは、紀元前の中国で太陽暦を使用していた時代に、季節を表すものとして太陽の動きに基づいて誕生した概念です。
1年を「春・夏・秋・冬」の4つの季節に分類し、さらにそれぞれの季節を6つに分け、合計24等分したものに名称をつけたものです。それゆえ、二十四節気と名付けられました。ちなみに、「節」は中国語で「区切り」の意味があります。
四季の始まりを表す「立春」「立夏」「立秋」「立冬」は二十四節気の「四立(しりゅう)」と呼ばれます。
また1年で最も日が短い「冬至」、1年で最も日が長い「夏至」、昼と夜の長さが同じ日を「春分」「秋分」と呼ばれ、この4つは「四至(しし)」と呼ばれます。
二十四節気は1年の変化の法則を定めたものとして、2016年にユネスコの無形文化遺産に登録されています。
大寒の第七十候、第七十一候、第七十二候とは?
二十四節には四季よりもより細やかに季節の移ろいを表す七十二候があります。
二十四節の1節をさらに約5日ごとに3等分し、1年を七十二に分けたもので、大寒には第七十候、第七十一候、第七十二候があります。
第七十候は1月20日から1月24日頃で「款冬華(ふきのはなさく)」時期と呼びます。款は「ふき」を指し、文字通り、早春の植物であるふきのとうが芽を出す時期を指します。
第七十一候は1月25日から1月29日頃で「水沢腹堅(さわみずこおりつめる)」時期と呼びます。沢の水さえも凍るという1年で最も厳しい寒さの様子を表しています。
第七十二候は1月30日から2月3日頃で「鶏始乳(たにわとりはじめてとやにつく)」時期と呼びます。「乳す」とは鳥が卵を産むという意味で、養鶏が始まる前はこの時期が卵の旬の季節でした。
寒の内(小寒~大寒)に行うこととは?
大寒と、その前の節気の小寒を合わせて、合計約30日間は「寒の内(かんのうち)」にあたります。ちなみに、小寒に入ることを「寒の入り」、大寒が終わることを「寒の明け」と呼びます。
この期間は1年で最も寒い時期で、この寒気を利用して様々な食べ物を仕込んだり、あえて寒中水泳など運動をして体を鍛えたりして、昔から健康的な食料や体作りに勤しんできました。
調味料として重宝されている?油や味噌、酒などの発酵食品はこの時期に作られます。
寒の時期に汲む水は「寒の水」と呼ばれ、雑菌が少ない清らかな水と言われています。そのため長く常備する発酵食品や寒天などの寒物は寒の内に仕込まれるようになりました。
大寒の行事や風習とは?
大寒の季節に行われる風習で最も有名なのは、やはり節分です。
昔は季節の節目には邪気が入りやすいと考えられており、特に節気の大晦日にあたる節分には豆まきなどをして邪気払いが行われてきました。
古来中国では「追儺(ついな)」という鬼を追い払う邪気祓いが行われていました。これが奈良時代に日本に伝来し、宮中行事として取り入れられた際に行われた「豆打ち」が、豆まきに形を変え、江戸時代に庶民の間に広まったと言われています。
豆が邪気払いに使われるのは、魔の目(魔目=まめ)を豆で滅する(魔滅=まめ)という意味からです。
また、節分には恵方巻が食べられます。
恵方巻は大正時代に流行った商売繁盛を祈願する食べ物で、この時期に漬けあがったお新香を海苔巻きにしたのが始まりと言われています。そこから七福神にあやかって7種の具材を入れるなど、太巻きへと進化していきました。
大寒の旬の食べ物とは?
大寒に旬を迎える食べ物は、菜の花や春菊など、新春を感じさせるさわやかな苦みや独特な香りを持つ早春の野菜です。
どちらもおひたしやお吸い物、サラダなどにしてほろ苦い春の味わいをそのまま味わえるシンプルな料理でいただくのが定番です。また、葉が柔らかいのでそのまま生でも食べられます。
ほかには、寒の水で作った凍り豆腐や、寒餅、新鮮な大寒たまごなども有名です。
果物では金柑やぽんかん、魚ではさば、さわら、ぶりなどが旬を迎えます。
大寒の旬の花や植物とは?
大寒の頃に咲いたり見頃を迎えたりするのは、水仙、ふきのとう、梅、椿、山茶花(さざんか)蝋梅(ろうばい)などが有名です。
バラ科の梅は桜に匹敵する華やかさがあり、全国各地で梅の花を観賞する梅まつりなどが催されています。
また鮮やかな花弁をつける椿は古くから親しまれてきた花で、かの有名な茶人・千利休も椿を気に入っていたと言われています。
水仙も大寒の頃に見頃を迎え、他の花が咲くのが難しい斜面や海岸で凛と咲く姿を見せてくれます。その美しさは万葉の昔から知られ、日本の渚百選にも選ばれているほどです。
大寒の過ごし方とは?
1年で最も寒さが厳しい時期と聞くとつい暖かい室内にこもってしまいそうになりますが、お正月で贅沢な食事を食べ、ゴロゴロと休んだ体をリセットするのに最適な時期でもあります。
あえて外で走ったり、運動をしたりすれば、身も心も引き締まり、健康的な体作りができます。
また、年中使う?油や味噌、酒は雑菌の少ない寒の水を使うと安心・安全の美味しい発酵食品が出来上がりますので、味噌作り体験などに参加したい人は大寒の時期がベストです。
また、年賀状を出し忘れた人や、喪中で出せなかった人は、大寒が終わるまでに年始のご機嫌伺いをする寒中見舞いを出しましょう。