
白露(はくろ)とは?
白露とは、二十四節気の1つで、朝晩の気温が下がり、初秋を迎える時候を表す15番目の二十四節気です。
白露は字のごとく、草木の表面についた露が朝の光に照らされて白く輝くように見られる時期を指します。
「白露」という言葉そのものが秋の季語にもなっており、夜の気温がグッと下がるようになった初秋の朝に見られる現象に、繊細な美しさや儚さ、寂しさといった気持ちを重ねて多くの歌が詠まれてきました。
江戸時代の有名な俳人・与謝蕪村も、「白露や 茨の刺に ひとつづつ」と詠み残しています。
ちなみに、露の輝きの美しさを表現した言葉は、他にも「銀露 (ぎんろ)」「月露 (げつろ)」「露華 (ろか)」「露珠 (ろしゅ)」などがあります。
2025年の白露はいつ?
2025年の白露は、2025年9月7日(日)です。
目次
二十四節気(にじゅうしせっき)とは?
二十四節気(にじゅうしせっき)とは、紀元前の中国で太陽暦を使用していた時代に、季節を表すものとして太陽の動きに基づいて誕生した概念です。
1年を「春・夏・秋・冬」の4つの季節に分類し、さらにそれぞれの季節を6つに分け、合計24等分したものに名称をつけたものです。それゆえ、二十四節気と名付けられました。ちなみに、「節」は中国語で「区切り」の意味があります。
四季の始まりを表す「立春」「立夏」「立秋」「立冬」は二十四節気の「四立(しりゅう)」と呼ばれます。
また1年で最も日が短い「冬至」、1年で最も日が長い「夏至」、昼と夜の長さが同じ日を「春分」「秋分」と呼ばれ、この4つは「四至(しし)」と呼ばれます。
二十四節気は1年の変化の法則を定めたものとして、2016年にユネスコの無形文化遺産に登録されています。
白露の第四十三候、第四十四候、第四十五候とは?
二十四節には四季よりもより細やかに季節の移ろいを表す七十二候があります。
二十四節の1節をさらに約5日ごとに3等分し、1年を七十二に分けたもので、白露には第四十三候、第四十四候、第四十五候があります。
第四十三候は、9月7日から9月21日頃で「草露白(くさのつゆしろし)」時期と呼びます。字のごとく、草花や木に白く光る朝露が現れるようになった時期を指します。
第四十四候は、9月12日から9月16日頃で「鶺鴒鳴(せきれいなく)」時期と呼びます。鶺鴒とはセキレイという鳥のことで、秋の季語にもなっているスズメ目の鳥です。甲高い鶺鴒の鳴き声が、秋の澄んだ空に響き渡る様を表しています。
第四十五候は、9月17日から9月21日頃で「玄鳥去(つばめさる)」時期と呼びます。玄鳥とはツバメのことで、春先にやってきたツバメが南方へ去っていく時期を表します。
白露に旬を迎える「秋の七草」
「春の七草」は有名ですが、実は秋にも七草があることをご存じでしょうか?
秋の七草は、奈良時代、万葉集に編纂された山上億良が詠んだ2首の歌が由来と言われており、萩(はぎ)、尾花(おばな・ススキを指す)、葛(くず)、撫子(なでしこ)、女郎花(おみなえし)、藤袴(ふじばかま)、桔梗(ききょう)の7つの植物を指します。
春の七草は、無病息災を願いつつ正月の豪勢な食事に疲れた胃を休ませるためのおかゆの具材になりますが、秋の七草は食べるものではなく、野山に咲く季節の草花を観賞して秋を楽しむことを目的として選ばれています。
白露の行事や風習とは?
白露の期間にある9月9日は、重陽(ちょうよう)の節句です。
現在は子どもの日として有名な5月5日の端午の節句などと同じく、日本で代表される五節句のうちの1つです。
「菊の節句」「栗の節句」とも言い、この日は秋の味覚である菊酒や栗ご飯を頂いて無病息災や長寿を祈願します。
9月中旬頃には、中秋の名月もあります。
中秋の名月とは、旧暦で秋の真ん中の日である旧暦8月15日(現在の暦では9月中旬から10月初旬頃)の夜に見える月のことで、この日に昇る月は1年で最も美しいとされています。
この夜には月を見上げながら月見団子を食べたり、ススキを飾ったりして、月見を楽しむ風習があります。
白露の旬の食べ物とは?
白露に旬を迎える食べ物は、ブドウやイチジク、梨、栗、カボチャ、茄子、里芋などがあります。
なかには年中スーパーで見かけたり、春から出回り始めたりするものもありますが、すべて8月から11月が旬の食べ物です。
また、魚介類でいうと、秋の味覚の代表であるサンマも旬を迎えます。
この時期のサンマは脂が乗っており、シンプルな塩焼きでも十分美味しく頂けます。
太刀魚も白露が旬の魚です。
地域によって漁獲量の旬には多少違いがありますが、この時期の太刀魚が1年で最も美味しいと言われています。
白露の旬の花や植物とは?
白露に見頃を迎える季節の花は、秋桜(コスモス)です。
春の桜になぞらえて名付けられた秋桜は、花弁が桜に似ていることが由来となったと言われています。ピンクだけでなく、白や赤、オレンジなど多彩な色で秋の風景を彩ります。
お月見にかかせないススキも白露の時期に野に一面に咲き誇ります。
ススキは草のようでいて、実は先っぽの白い穂は花の集まりです。やがて綿毛をつけた種子になり、たんぽぽの綿毛のように風に乗って飛んでいきます。
白露の過ごし方とは?
白露になると暑さもずいぶんと和らぎ、夜はグッと冷えるようになります。気温の低下から秋の草花が咲き始め、秋の風情ある景色が見られるようになります。
台風の多い季節でもありますが、秋晴れという言葉の通り、カラッとした晴れの日が多い時期でもあります。
気温も暑すぎず寒すぎず過ごしやすいため、スポーツやトレッキングなど外で体を動かすのに最適なシーズンといえます。
また、徐々に夜の時間も長くなるため、読書や映画鑑賞など自宅で趣味の時間に没頭するのも良いでしょう。
体を動かして夏の暑さの疲れを取り、時に趣味に打ち込んで内面を磨き、そして味わい深くなっていく秋の味覚を堪能して心身ともに整えてみてはいかがでしょうか。