二十四節気「処暑(しょしょ)」とは?意味や由来、行事を解説

処暑(しょしょ)とは?

処暑とは、二十四節気の1つで、暑さがやわらぎ、秋が感じられる時候を表す14番目の二十四節気です。

処暑の文字には「暑さ」が入っている言葉のため一見夏の節季に見えますが、実は8月後半から9月前半の期間を指し、秋の始まりである「立秋」の次の節気になります。

暦の上では秋とはいえ、現代ではまだまだ残暑厳しい季節でもありますが、二十四節気が作られた頃ではすっかり秋めいた時期と捉えられました。

「処」は“止まる”という意味を持つため、処暑は暑さが止まる、暑さが終わる時期を指しています。暑さは残るものの朝夕は涼しさも感じられるようになり、秋の虫の声も聞こえるようになります。

2025年の処暑はいつ?

2025年の処暑は、2025年8月23日(土)です。

二十四節気(にじゅうしせっき)とは?

二十四節気(にじゅうしせっき)とは、紀元前の中国で太陽暦を使用していた時代に、季節を表すものとして太陽の動きに基づいて誕生した概念です。

1年を「春・夏・秋・冬」の4つの季節に分類し、さらにそれぞれの季節を6つに分け、合計24等分したものに名称をつけたものです。それゆえ、二十四節気と名付けられました。ちなみに、「節」は中国語で「区切り」の意味があります。

四季の始まりを表す「立春」「立夏」「立秋」「立冬」は二十四節気の「四立(しりゅう)」と呼ばれます。

また1年で最も日が短い「冬至」、1年で最も日が長い「夏至」、昼と夜の長さが同じ日を「春分」「秋分」と呼ばれ、この4つは「四至(しし)」と呼ばれます。

二十四節気は1年の変化の法則を定めたものとして、2016年にユネスコの無形文化遺産に登録されています。

処暑の第四十候、第四十一候、第四十二候とは?

二十四節には四季よりもより細やかに季節の移ろいを表す七十二候があります。

二十四節の1節をさらに約5日ごとに3等分し、1年を七十二に分けたもので、処暑には第四十候、第四十一候、第四十二候があります。

第四十候は、8月23日から8月27日頃で「綿柎開(わたのはなしべひらく)」時期と呼びます。綿花の萼(がく=花の最も外側にある器官)が開き始める時期を指します。この綿花の繊維を使って、糸や木綿、織物などが作られてきました。

第四十一候は、8月28日から9月1日頃で「天地始粛(てんちはじめてさむし)」時期と呼びます。「粛」は弱まる、鎮まるという意味の言葉で、夏の気候が落ち着き、天地万物が改まる時期を指します。この頃になると秋雨前線が発達し、冷たい空気が入り込んで一気に気候が変わり始めます。

第四十二候は、9月2日から9月6日頃で「禾乃登(こくものすなわちみのる)」時期と呼びます。「禾」は稲・麦・稗・粟などの穀物の総称で、黄色く色づき実り始める時期を指します。

台風が多く発生する処暑と「二百十日」について

処暑の時期になると、昔から台風が多く発生するようになります。気象庁の統計的にも、台風は8月から9月 にかけて発生し、日本列島に接近する機会が一番多い時期とされています。

この頃は、稲が開花し、結実する大切な時期のため、いっそう農家が天気を気にしており、毎年9月1日頃は台風を警戒する「二百十日(にひゃくとおか)」という農家の三大厄日とされてきました。

二百十日というのは立春から数えて210日にあたるという意味です。昔は今のように台風の発生や動きがわからなかったため、厄日にすることで警戒を怠らないようにしていたそうです。

処暑の行事や風習とは?

お盆を過ぎ処暑に入ると、近畿地方では「地蔵盆」が行われます。

地蔵盆は京都発祥の仏教由来の行事で、子供を守護してくれる地蔵菩薩の縁日である8月後半の土日に、子供の健やかな成長や安全を祈願して催されます。大日如来を祭る地域でも同じような習わしが行われています。

昔は2日間行われていましたが、現代では少子高齢化や行事簡略化のため1日だけになるところも多いようです。

地蔵盆では地蔵菩薩をきれいにしたり、長い数珠をみんなで回して念仏を唱えたり、ゲームや食べ物など夏祭りのような屋台を出して子供たちが遊んだりします。

処暑の旬の食べ物とは?

処暑に旬を迎える食べ物は、秋の味覚の1つであるサツマイモです。

ふかしたり、焼き芋にして食べたりすると、いよいよ秋らしさを感じます。サツマイモは食物繊維が豊富なため、便秘解消に効果があるとされています。

処暑は夏の疲れが残る時期のうえ、昼夜の寒暖差が大きくなり始める時期のため、腸を整えるこうした食べ物を採って体調を整えるのがおすすめです。

イチジクも処暑の時期に旬を迎えます。

イチジクは無花果と書きますが、これは外からは花が見えない位置について、やがて実となることに由来します。イチジクは古来より不老長寿の食べ物とされるほど栄養価が高く、重宝されてきました。

処暑の旬の花や植物とは?

処暑に見頃を迎える花は、です。

萩は実は秋の七草の1つに数えられ、万葉集でも多く詠まれている、古来より人々に親しまれてきた季節の花です。赤紫色の花をつけ枝が垂れている姿が特徴的。

お彼岸にそなえる「おはぎ」の語源になるほど、秋の風物詩とされてきました。

また、木槿(むくげ)も見頃を迎えます。

木槿はハイビスカスとそっくり見た目で、少し小ぶりな花弁が特徴。朝に花弁が開いて夜にはしぼむことから「槿花一朝(きんかいっちょう)の夢」という儚さを謳った句も詠まれました。

処暑の過ごし方とは?

処暑の時期になると暑さがやわらぎ始め、ようやく気候も秋めいていて、朝夕は涼しさもはっきりと感じるようになります。

日中も過ごしやすくなって体も動かしやすくなりますが、体には夏の厳しい暑さや、冷房の効いた部屋に籠もっていたダメージが蓄積されている場合があります。

夏の疲れが出やすい時期とも言われていますので、慢心せずバランスが良く栄養価の高い食事と、質の良い睡眠を取りましょう。そして、だんだんと涼しくなる気候に体がついていけるよう、健康な体作りに取り組みましょう。

また、処暑は台風が頻発する季節でもあります。いつもよりこまめに天気予報をチェックして、万全の対策をして出かけるようにしましょう。

あなたにおすすめの記事