二十四節気「夏至(げし)」とは?意味や由来、行事を解説

夏至(げし)とは?

夏至とは、二十四節気の1つで、本格的な夏を迎える時候を表す10番目の二十四節気です。

夏至は「1年で一番お昼の時間が長い日」として覚えている方が多いのではないでしょうか? もちろん「お昼の時間が一番長い期間」は北半球だけの話で、南半球では、夏至は「お昼の時間が一番短い期間」になります。

夏至を迎えると、いよいよ本格的な夏の到来となり、暑さも日に日に増していきます。

2025年の夏至はいつ?

2025年の夏至は、2025年6月21日(土)です。

二十四節気(にじゅうしせっき)とは?

二十四節気(にじゅうしせっき)とは、紀元前の中国で太陽暦を使用していた時代に、季節を表すものとして太陽の動きに基づいて誕生した概念です。

1年を「春・夏・秋・冬」の4つの季節に分類し、さらにそれぞれの季節を6つに分け、合計24等分したものに名称をつけたものです。それゆえ、二十四節気と名付けられました。ちなみに、「節」は中国語で「区切り」の意味があります。

四季の始まりを表す「立春」「立夏」「立秋」「立冬」は二十四節気の「四立(しりゅう)」と呼ばれます。

また1年で最も日が短い「冬至」、1年で最も日が長い「夏至」、昼と夜の長さが同じ日を「春分」「秋分」と呼ばれ、この4つは「四至(しし)」と呼ばれます。

二十四節気は1年の変化の法則を定めたものとして、2016年にユネスコの無形文化遺産に登録されています。

夏至の第二十八候、第二十九候、第三十候とは?

二十四節には四季よりもより細やかに季節の移ろいを表す七十二候があります。

二十四節の1節をさらに約5日ごとに3等分し、1年を七十二に分けたもので、夏至には第二十八候、第二十九候、第三十候があります。

第二十八候は、6月21日から6月25日頃で「乃東枯(なつかれくさかるる)」時期と呼びます。乃東とは、冬至に芽生え夏至に枯れる夏枯草のことで、乃東が枯れる時期がきた様子を指します。

第二十九候は、6月26日から6月30日頃で「菖蒲華(あやめはなさく)」時期と呼びます。字の通り、夏の花である菖蒲の見頃を迎える時期を指します。

第三十候は、7月1日から7月6日頃で「半夏生(はんげしょうず)」時期と呼びます。半夏とは「烏柄杓」の別名で、田畑や山道に生え始める時期を指します。

夏至と冬至の関係性とは?

夏至は、北半球において1年で最もお昼の時間が長い日を指します。

最も北寄りの東から太陽が昇り、南中高度が最も高いところを通って、最も北寄りの西に沈んでいくため、太陽の日の光が当たる時間が長くなります。

対して、冬至は北半球において1年で最もお昼の時間が短い(夜の時間が長い)日を指します。

最も南寄りの東から太陽が昇り、南中高度が最も低いところを通って、最も南寄りの西に沈んでいくため、太陽の日の光が当たる時間が短くなります。

夏至と冬至は「二至」と呼ばれており、季節を区別する重要な時期です。

南半球では、地球の地軸の傾きによって太陽の動きが逆転するため、夏至と冬至の昼の時間の長さが反対になります。

夏至の行事や風習とは?

夏至の時期において、北半球ではいくつかの地域で「夏至祭」が行われています。

日本では三重県伊勢市の二見興玉神社で行われているものが有名です。神社の夫婦岩の間から陽が昇る時刻に太陽の光を浴びて体を清めます。

一方で、近年では夏至の時期に合わせて「キャンドルナイト」を催す風習が根づきつつあります。

もとはカナダにてエネルギー政策に対する反対の意を表すために行われたものでしたが、徐々に「電気を消してスローライフな夜を」というスローガンで活動が広まり、日本でも「100万人のキャンドルナイト」など各地でキャンドルナイトのイベントが催されています。

その他、夏至における全国的な風習はあまりありません。昼の時間が長いといっても、時期的に梅雨のため外に出て何かをするのが難しいのと、そもそも昔は梅雨に田植えを行っていたため、農繁期として忙しい時期だったためです。

夏至の旬の食べ物とは?

夏至では、冬瓜を食べる風習があります。

冬瓜は夏の野菜で、水分を多く含んでいるため、食べると体が冷えて夏バテ防止になります。

また、地域によって内容は異なりますが、豊作や健康を祈願した食べ物を食べる風習がそれぞれあります。

関東では小麦で作った半夏生餅を、関西ではタコ和菓子を、愛知ではイチジクに田楽味噌をかけた無花果田楽が食べられます。

ちなみに、昔は夏至に小麦を収穫していたので、うどん県といわれる香川県では夏至の時期に収穫したばかりの小麦を使ってうどんが作られています。

夏至の旬の花や植物とは?

夏至の頃に咲く花として有名なのは、やはり梅雨の代名詞でもある紫陽花です。

「家族」や「団らん」という花言葉を持ち、この時期の花祭壇にも使われます。ただし、紫陽花には毒があるため、仏式の祭壇には使用しません。

他には千日紅(センニチコウ)が挙げられます。

白やピンク、紫など色が豊富で、「変わらぬ愛」「不朽」といった永遠を意味する花言葉を持ちます。「千日」と名づけられたように咲く期間が長いため、仏花として昔から重宝されています。

また、夏至の終わり頃には、朝顔の花芽が形成され、花を咲かせます。

夏至の過ごし方とは?

夏至は1年で最も日が長いため、何か活動をするにはうってつけの日といえます。

ただ、暑さや湿度が増す時期であるのと、天気が崩れやすい時期でもあるので、出かける際は雨天対策を忘れないようにしましょう。

また、暑さゆえについつい1日中クーラーのついた室内でじっとして過ごしがちですが、夏至のあとは長い夏の本番が控えています。

ここで体がなまってしまったり、クーラーの風に慣れてしまったりすると、夏バテを引き起こしやすくなることも。

体作りやリフレッシュをかねて朝一番の日の光を浴びたり、夜は電気やクーラーを消してキャンドルの光でゆっくり過ごしたりしてみてはいかがでしょうか。

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