二十四節気「立春(りっしゅん)」とは?意味や由来、行事を解説

立春(りっしゅん)とは?

立春とは、古代中国の概念・二十四節気(にじゅうしせっき)の最初の節気で、「立」は中国語で「始まる」を意味することから、「春の始まり」、そして「1年の始まり」とされる日です。

現在では国立天文台の観測によって「太陽黄経が315度になった瞬間が属する日」が前年に発表され、その日が立春となります。例年2月4日頃が立春となりますが、観測によっては1日程度変動する年もあります。

立春を過ぎると暦上では「春」とされ、挨拶状でも寒中見舞いから余寒見舞いとなり、手紙などの時候の挨拶も「早春の候」「残寒の候」として「寒さが和らぐ」、「梅のつぼみが…」など、春の訪れを思わせる書き出しをするようになります。

2025年の立春はいつ?

2025年の立春は、2025年2月3日(月)です。

二十四節気(にじゅうしせっき)とは?

二十四節気(にじゅうしせっき)とは、紀元前の中国で太陽暦を使用していた時代に、季節を表すものとして太陽の動きに基づいて誕生した概念です。

1年を「春・夏・秋・冬」の4つの季節に分類し、さらにそれぞれの季節を6つに分け、合計24等分したものに名称をつけたものです。それゆえ、二十四節気と名付けられました。ちなみに、「節」は中国語で「区切り」の意味があります。

四季の始まりを表す「立春」「立夏」「立秋」「立冬」は二十四節気の「四立(しりゅう)」と呼ばれます。

また1年で最も日が短い「冬至」、1年で最も日が長い「夏至」、昼と夜の長さが同じ日を「春分」「秋分」と呼ばれ、この4つは「四至(しし)」と呼ばれます。

二十四節気は1年の変化の法則を定めたものとして、2016年にユネスコの無形文化遺産に登録されています。

立春の第一候、第二候、第三候とは?

二十四節には四季よりもより細やかに季節の移ろいを表す七十二候があります。

二十四節の1節をさらに約5日ごとに3等分し、1年を七十二に分けたもので、立春には第一候、第二候、第三候があります。

第一候は、2月4日から2月8日頃で「東風解凍(はるかぜこおりをとく)」と言います。旧暦の春を迎え、まだまだ寒さが残るものの、春先に吹く東寄りの柔らかな風(東風)が、湖や川の氷を溶かし始まる時期です。

第二候は、2月9日から2月13日頃で「黄鶯?睆(うぐいすなく)」と言います。春が進み、鶯などの?睆(鳴き声の良い)様子が聴こえる時期です。

第三候は、2月14日から2月18日頃で「魚上氷(うおこおりをいずる)」と言います。暖かさで割れた氷の間から小魚が踊り跳ねる様子が見られる時期です。

立春の由来とは?

日本では現在、太陽暦が暦を読む指標として採用されていますが、中国から仏教が伝来した時期から明治時代初期までは、太陰太陽暦が採用されていました。

月の動きをメインとし、そこに太陽の動きを加えた暦の概念ですが、実際の季節とずれが生じることから使われなくなり、旧暦となりました。

そこから二十四節気が用いられるようになり、季節の始まりを「立春」をはじめ「立夏」「立秋」「立冬」と呼ばれるようになりました。

前述したように中国語で「立=始まり」を意味することから、「春の始まり」が「立春」という名称になったと考えられます。

立春と節分の関係とは?

「節分」は、現在の日本では鬼を祓うための豆まきをする2月3日を指しますが、「節」は中国語で「区切り」を意味するように、本来の節分は季節の始まりの節目にあたる日を指し、立春・立夏・立秋・立冬の前日を節分とされていました。

そのため、節分と呼ばれる日は2月3日だけでなく、1年で4つ存在しています。その中でも立春は「春の訪れ」だけでなく「1年の始まり」を表すため、特に重要視され、やがて「節分」と呼ばれるのは立春の前日である2月3日だけを指すようになりました。

昔では節分と立春は大晦日と正月に相当する日で、新しい年を迎える前に邪気を払う行いとして豆まきをしたり、家先にイワシの頭を飾ったりして厄払いをしていました。

立春の行事や風習とは?

立春では、「立春大吉(りっしゅんだいきち)」と書かれた札を家の入り口に貼る風習があります。

「立春大吉」の文字は左右対称のため、表から見ても裏から見ても「立春大吉」と読めます。そのため門から入った鬼が「立春大吉」を見て「まだ家の外にいる」と勘違いをして引き返すと考えられ、厄払いに効果のある風習として続いています。

禅宗のお寺では立春の朝に「立春大吉」の札を門に貼ります。「立春大吉」は天地の神気を頂き、すべての民に幸福をもたらす縁起物として重宝されてきました。

「立春大吉」の札は禅宗のお寺で入手することができる他、自分で書いて用意することもできます。

立春の旬の食べ物とは?

立春に食べると縁起が良いとされる旬の食べ物を3つご紹介します。

1つ目は「立春朝搾り」で、前日の節分からもろみを絞り、立春の朝に完成させる酒のことをいいます。

2つ目は「立春朝生菓子」で、立春の朝に作って、その日のうちに食す生菓子を指します。

生菓子には立春大福や桜餅、うぐいす餅が用いされます。特にあんこの原材料である小豆は古来より邪気を払う力があるとされているので、縁起物としてめでたい日や節目によく使われます。

3つ目は「立春大吉豆腐」で、白い豆腐に邪気を払う力があるという考えから立春や節分に豆腐を食べる風習があります。

立春の旬の花や植物とは?

春の訪れを表す旬の植物として、早春に雪の中から顔を出すフキノトウがあります。フキノトウは、ほろ苦い春の味を感じる食べ物として、天ぷらや蕗みそにして食べられます。

立春を象徴する旬の花は、春の爽やかさを表現する鮮やかな瑠璃色のオオイヌノフグリや、黄色い紐が絡んだような花をつけるマンサクがあります。

マンサクは立春の頃に花開く植物で、花がたくさん咲けば豊作、あまり咲かなければ不作と、稲の実りを占うものとしても重宝されてきました。

立春の過ごし方とは?

立春には縁起物とされる「立春朝絞り」「立春朝生菓子」「立春豆腐」を食べる他、元日の朝一番に井戸から汲んだ水を指す「若水」を飲む風習があります。

1年で最初の水である若水は豊作や健康などの福を呼ぶとされ、宮中では天皇に奉じていた由緒ある縁起物です。

また、立春を迎えて初めての午の日を「初午(はつうま)」と呼び、この日は1年の豊作や商売繁盛を祈願して、全国各地の稲荷神社や祠で祭礼が行われます。

初午は稲荷信仰と結びついている縁起日で、「お稲荷さん」の草本宮である伏見稲荷大社の御祭神・稲荷大神様が稲荷山に降臨した日とされています。

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