小満(しょうまん)とは?
小満とは、二十四節気の1つで、光が強まり夏の気配を感じられる初夏の時候を表す8番目の二十四節気です。
野山や草木はより青々と艶めき、田植えも始まるなど、命の輝きを感じられる美しい季節です。西日本では本格的な梅雨入りの前に先走って雨が降る「走り梅雨」が見られる季節でもあります。
小満という名になった由来としては、旧年の秋に蒔いた麦の穂が育ったり、春に芽吹いた万物がさらに生長したりする様子に満ち足りた安心を覚えることから、「小さな満足」と書いて小満となったと言われています。
2025年の小満はいつ?
2025年の小満は、2025年5月21日(水)です。
目次
二十四節気(にじゅうしせっき)とは?
二十四節気(にじゅうしせっき)とは、紀元前の中国で太陽暦を使用していた時代に、季節を表すものとして太陽の動きに基づいて誕生した概念です。
1年を「春・夏・秋・冬」の4つの季節に分類し、さらにそれぞれの季節を6つに分け、合計24等分したものに名称をつけたものです。それゆえ、二十四節気と名付けられました。ちなみに、「節」は中国語で「区切り」の意味があります。
四季の始まりを表す「立春」「立夏」「立秋」「立冬」は二十四節気の「四立(しりゅう)」と呼ばれます。
また1年で最も日が短い「冬至」、1年で最も日が長い「夏至」、昼と夜の長さが同じ日を「春分」「秋分」と呼ばれ、この4つは「四至(しし)」と呼ばれます。
二十四節気は1年の変化の法則を定めたものとして、2016年にユネスコの無形文化遺産に登録されています。
小満の第二十二候、第二十三候、第二十四候とは?
二十四節には四季よりもより細やかに季節の移ろいを表す七十二候があります。
二十四節の1節をさらに約5日ごとに3等分し、1年を七十二に分けたもので、小満には第二十二候、第二十三候、第二十四候があります。
第二十二候は5月21日から5月25日頃で「蚕起食桑(かいこおきてくわをはむ)」時期と呼びます。文字の通り、孵化した蚕が桑の葉を食べ始める時期を指します。
第二十三候は5月26日から5月30日頃で「紅花栄(べにばなさかう)」時期と呼びます。実際に咲き始めるのはもう少し後のほうが多いのですが、紅花が先始める時期という意味です。
第二十四候は5月31日から6月4日頃で「麦秋至(むぎのときいたる)」時期と呼びます。麦の収穫期を迎え、麦が小麦色に熟す時期であることを表しています。
小満にまつわる季語「麦秋」について
「麦秋」と聞くと実りの秋をイメージしますが、実際には麦秋は初夏を指します。「ばくしゅう」または「むぎあき」と言い、第二十四候の名前の通り、麦など穀物の収穫期にあたります。
植物の生育に勢いのある小満では、初冬に種を蒔いた麦が小麦色に熟してたわわに実り、収穫の時期を迎えます。
初夏に収穫されるのになぜ「秋」の字を使うのかというと、日本の代表的な穀物である米の収穫期が秋だからです。そのため、同じ穀物の麦の収穫期にも「秋」の文字が使われるようになりました。
ちなみに「麦」は小満の時期のものの名前によく使われており、この頃に降る雨を「麦雨(ばくう)」と言います。
小満の行事や風習とは?
小満では、初夏の時期であることから「衣替え」が行われます。
現在では一般的に、学校、各企業や官庁など制服を着るところでは、6月1日と10月1日を「衣替えの日」としています。
そもそも衣替えは「夏と冬の服を変える」という中国の宮中行事が平安時代に渡来してきたことが始まりと言われています。
昔は着物の修理が多く1年に4度衣替えを行っていましたが、洋装が増えた明治時代以降は1年に2度になりました。
ただ、小満は早くも梅雨の気配が忍びよる時期でもありますので、6月1日を待たずに夏服を準備し、冬服はカビないようクリーニングをしておきましょう。
小満の旬の食べ物とは?
小満に旬を迎える食べ物といえば、ラッキョウです。
独特の風味とピリッとした辛さ、そして歯ごたえのいい食感が特徴です。甘酢漬けなどにして、お漬け物のようにメインに添える箸休めの食材になります。
そら豆も小満の季節においしい野菜の1つです。
大ぶりの豆で存在感があり、塩ゆでだけでなく炒め物やスープの具材としても活躍します。
魚介類でいうと、アジが旬を迎えます。
初夏の潮に乗って脂がつき、より丸々としていきます。高タンパク質で栄養価が高く、味も深みがあります。
小満の旬の花や植物とは?
小満に旬を迎える植物といえば、万葉集でも詠まれ、古くから親しまれてきた杜若(かきつばた)が挙げられます。
日本に自生する花で、深い青紫の花弁が印象的です。上品なたたずまいが人気で、江戸時代では園芸用として注目を集めました。
他には、美人を形容する言葉「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」に出てくる芍薬、牡丹、百合も見頃を迎えます。
見栄えのする立派な花々だけでなく、小ぶりで可愛らしいスズランも小満に盛りを迎えます。
小満の過ごし方とは?
小満は自然の青々とした輝きを感じられる、美しい季節です。
まだそれほど暑くもなく、カラッとした天気が多いので、散策やアウトドアなどお出かけにぴったりです。日差しもまだ強くないので、日の光をたっぷり浴びて健康的な体づくりを目指しましょう。
ただ、西日本側では梅雨の先走りで天候がぐずつくこともあるので、予定を立てるときは天気予報をチェックするのを忘れずに。
小満を過ぎるといよいよ暑さが増していくので、6月1日を目安に衣替えを行うのも忘れないようにしましょう。特に制服がある人は、早めにクリーニングに出して、いつでも着られるように準備を進めておきましょう。