二十四節気「寒露(かんろ)」とは?意味や由来、行事を解説

寒露(かんろ)とは?

寒露とは、二十四節気の1つで、秋の時候を表す17番目の二十四節気です。

草木に冷たい露が降りる時節を指し、それゆえ“寒い露(つゆ)”と書きます。時期としては、夜が次第に長くなり、朝晩の冷え込みがきつくなり始めた10月初旬から10月下旬頃の季節を指します。

寒さが目立ち始める反面、空気が澄み渡り、夜空には一層冴え冴えと光り輝く月が拝めます。そして、秋の長雨が終わり、日中は秋晴れの過ごしやすい日が多くなる時期でもあります。

寒露の頃になるとちょうど稲刈りが終わり、その他の農作物も収穫のピークを迎えます。昔から農家が繁忙を極める、まさに実りの秋を体現する時候といえます。

2024年の寒露はいつ?

2024年の寒露は、2024年10月8日(火)です。

二十四節気(にじゅうしせっき)とは?

二十四節気(にじゅうしせっき)とは、紀元前の中国で太陽暦を使用していた時代に、季節を表すものとして太陽の動きに基づいて誕生した概念です。

1年を「春・夏・秋・冬」の4つの季節に分類し、さらにそれぞれの季節を6つに分け、合計24等分したものに名称をつけたものです。それゆえ、二十四節気と名付けられました。ちなみに、「節」は中国語で「区切り」の意味があります。

四季の始まりを表す「立春」「立夏」「立秋」「立冬」は二十四節気の「四立(しりゅう)」と呼ばれます。

また1年で最も日が短い「冬至」、1年で最も日が長い「夏至」、昼と夜の長さが同じ日を「春分」「秋分」と呼ばれ、この4つは「四至(しし)」と呼ばれます。

二十四節気は1年の変化の法則を定めたものとして、2016年にユネスコの無形文化遺産に登録されています。

寒露の第四十九候、第五十候、第五十一候とは?

二十四節には四季よりもより細やかに季節の移ろいを表す七十二候があります。

二十四節の1節をさらに約5日ごとに3等分し、1年を七十二に分けたもので、寒露には第四十九候、第五十候、第五十一候があります。

第四十九候は10月8日から10月12日頃で「鴻雁来(こうがんきた)」時期と呼びます。雁がツバメと入れ替わりに北から渡ってくる頃を表し、その年の初めに渡ってくる雁を「初雁(はつかり)」と呼びます。

第五十候は10月13日から10月17日頃で「菊花開(きくのはなひらく)」時期と呼びます。菊の花が咲き、見頃となる時期を表しています。

第五十一候は10月18日から10月22日頃で「蟋蟀在戸(きりぎりすとにあり)」時期と呼びます。キリギリスが、戸口で鳴き始める頃を表しています。

寒露の時期に行われる『神嘗祭』とは?

例年寒露の次候「菊花開」にあたる10月15日から17日に、伊勢神宮にて「神嘗祭(かんなめさい)」が行われます。

「神嘗祭」とは、その年に収穫した新穀を天照大御神に奉納して収穫に感謝するお祭りで、明治以前は9月に行われていましたが、今は10月15日の興玉神祭に続き行われるようになりました。

伊勢の神宮は国内の神宮で最も古い由緒をもち、また天皇の祖先とされる天照大御神を祀っているため、「神嘗祭」には天皇も遥拝されます。

古くから日本人の主食となり、税金としても長く使われてきたお米にまつわる「神嘗祭」はとても大切な祭儀のため、日本各地の神宮でも神嘗祭遥拝式が斎行されています。

寒露の行事や風習とは?

寒露の時期に最も馴染みのある行事・風習と言えば毎年10月の第二月曜日にあるスポーツの日(旧・体育の日)です。

「スポーツを楽しみ、他者を尊重する精神を培うとともに、健康で活力ある社会の実現を願う日」として、1964年に開催された東京オリンピックを記念して制定されました。

秋晴れが多くなる寒露の時期は身体を動かすのに適した気候となるため、スポーツの日を含む3連休に運動会やスポーツの大会が盛んに行われています。

また、寒露は気温が下がり空気が澄んで月がキレイに見える時期でもあるため、十五夜の次に美しいとされ、お月見を楽しむ「十三夜」も寒露の中頃にあります。

寒露の旬の食べ物とは?

「初物七十五日」や「初物を食えば七十日長生きする」と言われるように、古来よりその年に初めて収穫された野菜や穀物を「初物」と呼び、重宝してきました。

実りの秋のピークである寒露は初物が多く、旬の食べ物も他の時節に比べ多くなります。その中でも代表的な初物と言えば、松茸、栗、柿などが挙げられます。

野菜では、青梗菜(ちんげんさい)が旬を迎えます。和名は「体菜(たいさい)」と言い、もともとは中国の野菜で、1972年の日中国交回復以降に日本に入ってきました。

旬の魚はししゃもです。寒露の時期になると卵を蓄えるメスが増え、「子持ちししゃも」として美味しく食べられています。

寒露の旬の花や植物とは?

寒露の旬の花には「菊花開」という七十二候があるように、が有名です。寒露になると全国各地で菊まつりや菊の品評会、展示が催されます。菊には不老長寿の薬効があると考えられていたため、昔から菊花酒を飲む風習があります。

また、藤袴も寒露の初期から開花し始めます。藤袴は七草の1つで、万葉集や源氏物語にも登場する、古来より親しまれている花です。実は奈良時代に中国から渡来してきた花で、花弁の形が袴に似ていることから、「藤袴」と名づけられました。

寒露の過ごし方とは?

寒露では朝晩の冷え込みが強まるものの、日中は秋晴れの日が多くなり活動しやすくなります。そのため冬支度を始めるのに最適な時期と言われています。本格的に寒さが到来する前に、活動しやすい気温のうちにいろいろと準備を進めましょう。

冬に寒さで体調を崩さないよう、健康な体作りを進めることも大切です。旬を迎える多くの野菜や果実、穀物でしっかりと栄養を取り、スポーツやアウトドアなどで身体を動かして心身を整えましょう。

また、寒露は寒気で空気が澄み、星や月がよりキレイに見える時期のため、時には秋の夜長を楽しむ情緒ある時間をゆったり過ごすのもおすすめです。

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