トート・タロットとは、20世紀最大の魔術師とも称されるアレイスター・クロウリーが画家レディ・フリーダ・ハリスと共に制作したタロットカード。1938年から1943年にかけて制作され、カバラ、占星術、錬金術、様々な宗教の思想など、多くのオカルト的要素が精緻に組み込まれている。全78枚の構成は通常のタロットと同様に大アルカナ22枚、小アルカナ56枚だが、カード名や絵柄には独自の解釈と哲学が盛り込まれており、他のタロットとは一線を画すカードである。
1.制作者の違い
一般的に広く知られている「ライダー版・ウェイト版タロット」は思想面を作家のアーサー・エドワード・ウェイトが担当し、絵柄は画家のパメラ・コールマン・スミスによって描かれた。
2.絵柄の違い
「ライダー版・ウェイト版タロット」は描かれる人物などの象徴が明確で視覚的にも分かりやすく、直感的に読みやすいのが特徴。一方で「トートタロット」の絵柄は色彩豊かで幾何学模様や神話的モチーフが複雑に織り込まれており、非常に芸術性が高く、神秘的な雰囲気が際立っている。
3.解釈の違い
「トートタロット」はカードの種類や構成、順番においては「ライダー版・ウェイト版タロット」とほぼ共通しているが、それぞれのカードに描かれた絵柄のニュアンスや象徴の捉え方は違いがある。
「ライダー版・ウェイト版タロット」は物語性を持った場面を描くことで直感的な理解を促すスタイルがとられている。一方「トートタロット」はカードごとに複数の概念が同時に表現されており一見しただけでは意味を捉えにくいこともあるが、読み解くたびに新たな気づきやより深い精神的探究をもたらす。
「トートタロット」では大アルカナを「メジャーカード」と呼ぶ。「ライダー版・ウェイト版タロット」の8番と11番が入れ替わる形で、名前は「正義(Justice)」が「調整(Adjustment)」に、「力(Strength)」が「欲望(Lust)」に変更されている。また20番「審判(Judgement)」は「トートタロット」では「永劫(The Aeon)」に変更されている。
「トートタロット」では小アルカナは「マイナーカード」と呼ぶ。人物札(コートカード)の名称が「ライダー版・ウェイト版タロット」と異なる点があり、「王(キング)」が「騎士」に、「騎士(ナイト)」が「王子」に、「小姓(ペイジ)」が「王女」に変更されている。なお、「女王(クイーン)」は「女王」のまま表記されている。
1. 正逆がなく統合的アプローチが可能 トートタロットには「正位置」「逆位置」といった概念がなく、1枚のカードの中に光と影、建設と破壊といった両極の要素が同時に内包されている。これにより、表面的な吉凶にとらわれず、物事の本質を統合的に読み解くことが出来る。
2. 占星術と高度な統合 全78枚のカードが黄道十二宮・惑星・デカン(10度区分)といった占星術の構造と緻密に対応している。これにより、天体のエネルギーと個人の内面の状態がリンクしやすく、占ったタイミングの心の動きや状況を的確に反映される。
3. カードの背後に組み込まれた精緻な体型構造 例えば22枚のメジャーカードはカバラの「生命の樹」の22のパスに対応しており、それぞれが宇宙の構造や人間の霊的成長の過程を象徴するように設計されている。その結果、各カードは特定のエネルギーや魂の進化の段階を示すツールとして機能し、表面的な出来事だけでなく、内面の状態、運気の流れ、人生の転機など多角的に読み解くことが可能となっている。
「トートタロット」は通常、78枚のカードから構成されており、各カードには固有の象徴や意味がある。












